大谷翔平の「大規模な後払い」がドジャースにもたらすメリットとは

ドジャースと10年7億ドルで合意したことが明らかになった大谷翔平だが、米スポーツ専門チャンネル「ESPN」のジェフ・パッサン記者によると、大谷が受け取るサラリーの大部分が後払いになる予定だという。これはドジャースのペイロールに負担をかけないよう、大谷サイドから提案されたものだったようだ。では、大谷サイドが提案した「大規模な後払い」によって、ドジャースにはどんなメリットが生まれるのか。最大のメリットは、ぜいたく税計算上のペイロールに余裕を作り、他の補強ポイントに資金を充てることができるということだろう。

ぜいたく税計算上のペイロールは、そのシーズンの選手の年俸の合計値ではなく、複数年契約を結んでいる選手に関しては「契約期間中の年平均額」で計算される。たとえば、2年2000万ドルの契約を結んでいる選手がいるとして、1年目の年俸が500万ドル、2年目の年俸が1500万ドルであったとしても、ぜいたく税計算上のペイロールでは1年目も2年目も1000万ドルで計算されるというわけだ。

10年7億ドルで合意した大谷の場合、単純に計算すれば、年平均7000万ドルという金額がドジャースのぜいたく税計算上のペイロールに10年間にわたって加算されることになる。大谷と合意する前の時点で、ドジャースのぜいたく税計算上のペイロールは1億7400万ドルだったが、大谷の7000万ドルを加えると2億4400万ドルとなり、あっという間にぜいたく税の1つ目の基準額を超過してしまうのだ。

ただし、この「契約期間中の年平均額」は現在価値をもとに算出されるため、「大規模な後払い」によって発生する利子を含めて「10年7億ドル」という契約を結ぶことになる大谷の契約の現在価値は大きく割り引かれることになる。詳細が公表されていないため、どれくらいの金額になるかは不明だが、パッサン記者は「ぜいたく税の計算上では、年平均4000万~5000万ドルくらいになる可能性がある」との見解を示している。後払いがない場合の年平均7000万ドルと比較すると、1年あたり2000万~3000万ドルも少ない数字となり、その分だけドジャースのぜいたく税計算上のペイロールには余裕が生まれることになる。

仮に、大谷の契約が年平均4500万ドルになったとすると、ドジャースのぜいたく税計算上のペイロールは現時点で2億1900万ドルとなる。これはぜいたく税の基準額を下回る数字だ。今季は2億6700万ドルだったが、これと比較しても4800万ドルほどの余裕があり、過去最高だった2022年の2億9300万ドルと比較すると、7400万ドルの余裕があるということになる。先発投手という大きな補強ポイントを残すドジャースにとって、ペイロールに余裕ができることの意味は非常に大きい。

パッサン記者の予想通りに大谷の年平均額が7000万ドルから4000万~5000万ドルくらいまで下がるのであれば、ドジャースはその差額だけでエース級の先発投手を1人獲得することが可能になる。大谷サイドが「大規模な後払い」を提案したことにより、ドジャースは他の補強ポイントに資金を充てることができるようになったのだ。

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