ヤマトHDが貨物専用機を披露 来春運航、西日本への輸送力を強化 「物流ハブ」に貢献 沖縄・那覇空港

ヤマトホールディングスが導入する貨物専用機が那覇空港に到着し、記念撮影する同社と日本航空、スプリング・ジャパンの代表者ら=10日、那覇市

 物流大手ヤマトホールディングス(HD)が来年4月に導入する貨物専用機「フレイター」が10日、飛行訓練のため初めて那覇空港に到着し、報道陣に公開された。那覇を発着する貨物専用機の定期便は、2020年から運休しているANAカーゴ以来で、現時点で運航している社はない。特に九州を含む西日本への輸送力が強化される。(政経部・大城大輔)

 来年4月からトラック運転手の時間外労働に上限規制が適用される「2024年問題」への対応や、「沖縄国際物流ハブ」の構築にも貢献したい考え。

 フレイターは、ヤマトがリースで3機導入。地上での貨物の積み降ろしなどの作業を日本航空(JAL)が、JALグループ格安航空会社(LCC)のスプリング・ジャパンが運航する。最大搭載量は28トンで、10トントラックの約5~6台分に相当する。

 成田や羽田、札幌、北九州、那覇間を結ぶ。最終的には1日21便を計画しており、那覇を発着するのは、成田を午前6時に出発する便と、午後4時45分に北九州へ出発する便が4月11日から毎日あるため、1日計56トン分の輸送力が増えることになる。

 従来の、沖縄から東京などを経由して西日本へ輸送する体系では、2024年問題の影響を受ける可能性があるが、北九州に定期便が出ることで西日本への安定的な輸送が期待できる。西日本へのスピードを要する法人の荷物で、翌々日に届いていたものを翌日に短縮することも可能になる。

 ヤマトHDの長尾裕社長は「2024年問題のタイミングに合わせて投入できるのは意義深い」と強調。「県の沖縄国際物流ハブの構想に共感し、取り組んできた。沖縄の大切なビジネスに来春から(フレイターが)加わる」と力を込めた。

 将来的には、海外から本土への貨物を那覇で中継することや、海外への輸送も視野に入れている。

© 株式会社沖縄タイムス社