トルコで発生した主審殴打事件……殴ったアンカラギュジュ会長は逮捕のち辞任

写真:殴打されたハリル・ウルト・メレル主審 ©Getty Images

現地時間12月11日に行われたトルコ・スーパーリーグのアンカラギュジュ vs チャイクル・リゼスポルの試合終了直後、アンカラギュジュのファルク・コジャ会長がピッチに乱入し、この試合を裁いたハリル・ウムト・メレル主審を殴打するという衝撃的な事件が発生した。

試合は1-0でアンカラギュジュがリードしていたが、90+7分にチャイクル・リゼスポルが同点ゴールを奪い、1-1の引き分けに終わった。この試合は両チーム1人ずつが退場になるなど荒れ模様だった。メレル主審は殴打されてピッチに倒れた後、複数回にわたって蹴られてもいる。

この事件を受け、トルコサッカー協会は即座に国内リーグの無期限延期を発表。また、トルコのユルマズ・トゥンク法務大臣は、コジャ会長と他の2人が「公務員に傷害を与えた」容疑で正式に逮捕されたことを明らかにした。

殴られたメレル主審は病院に搬送されて検査を受け、顔面に小規模な骨折を含むケガを負ったものの脳には損傷はなく、早ければ12月13日には退院できる見込みだという。

FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長はこの事件を受けて「全く容認できない。我々のスポーツや社会に暴力の居場所はない」とコジャ会長を強く批判した。

コジャ会長はその後、クラブの会長職を辞任し、クラブ公式サイトでの声明において自身の行動を次のように謝罪している。

「昨夜のチャイクル・リゼスポル戦後、私がハリル・ウムト・メレル主審に示した態度について、トルコの審判界、スポーツ界、国民、特にメレル氏とその家族に謝罪したい。このような事態に至った経緯や理由は事件とは無関係だ。どんなに大きな不正や不義があったとしても、私が行った暴力を正当化することはできない」

「誰にも受け入れられないこの事件が、我々のスポーツライフ、特にサッカーコミュニティーが、過ちや欠陥、暴力の文化から解放されるきっかけになることを願っている。それと同時に、私が引き起こしたこの重大な事件により、トルコサッカーの構造的問題がより現実的に議論されることを願う」

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