コールセンターサービス市場/コンタクトセンターソリューション市場の調査を実施(2023年)~2022年度のコールセンターサービス市場は前年度比2.6%増の1兆1,547億円、コンタクトセンターソリューション市場は同3.5%増の4,859億円、コールセンターサービスはスポット需要が落ち着き、コンタクトセンターソリューションはクラウド型コンタクトセンターの需要拡大~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のコールセンターサービス市場およびコンタクトセンターソリューション市場を調査し、サービス別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

1.市場概況

2022年度の国内コールセンターサービス市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比2.6%増の1兆1,547億円であった。コロナ禍を背景としたスポット案件(公共分野や官公庁案件)の発生が市場規模を押し上げた。また、民間企業においても生産年齢人口の減少、労働力不足によりコールセンターのアウトソーシング需要は引き続き拡大しており、コール(電話)だけではなく、チャットやソーシャルメディア対応などの非コール業務が増加していることもアウトソーシングを活用する要因になっている。

2022年度の国内コンタクトセンターソリューション市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比3.5%増の4,859億円であった。コロナ禍が落ち着き始めた中、同年度も市場全体としては順調に伸長した。市場拡大要因の1つには、コールセンター事業者の人材不足や働き方改革によってコンタクトセンターの在宅対応が一般化するなど、勤務形態の柔軟性が拡がったことが挙げられる。そうした動きに対応するべく、ネット環境やセキュリティ面など、在宅対応時の課題に関連するコンタクトセンターソリューションが伸長した。

2.注目トピック~CX拠点としてのコールセンター/コンタクトセンター

デジタルトランスフォーメーション(DX)、顧客体験(CX:カスタマーエクスペリエンス)向上を志向する企業が増加し、商品やサービスに対する顧客の生の声を拾うことができる拠点としてコールセンター/コンタクトセンターの重要度が増している。顧客が商品やサービスの購入前後にとった行動や体験を分析する上で、コールセンター/コンタクトセンターは顧客との重要なタッチポイントとなっている。

生成AIを活用したテクノロジーが進化しつつあり、オペレーターの業務効率化として応対時の内容の自動要約などを行う動きもある。今後も更なるテクノロジーの発展が続くことで、オペレーターの対応業務の最適化が進むだけでなく、顧客の声を量・質の両方の観点で拾いやすくなっていくと期待する。

3.将来展望

2023年度の国内コールセンターサービス市場については、コロナ禍で続いてきた大型スポット案件(公共分野や官公庁案件)の規模が縮小することに伴い前年度を割るものと予測する。

国内コンタクトセンターソリューション市場は、2023年度以降に関しても着実に市場は伸長していくものと予測する。クラウド型コンタクトセンター比率の高まりは単価低下を招くが、これまで利用の少なかった中小企業などでの普及が期待される。webチャネルとコールセンターを融合させた新たな顧客サポート体制の強化を目的としたシステム整備も進んでいくと予測する。

今後は、カスタマーエクスペリエンスを重視する企業が増加し、顧客の生の声を拾うことができる拠点としてコールセンター/コンタクトセンターの認知が拡がるようになれば、さらなる市場拡大が期待できるものと予測する。

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