逗子斜面崩落訴訟 遺族の父が会見「娘、家族に救いの判決」

横浜地裁の判決を受けて会見した女子生徒の父親=15日午後、横浜市内

 「もちろん、亡くなった娘は二度と帰ってきませんし、会うこともできません。でも、娘や家族にとって、救いがあった判決だと思います」。逗子市のマンション敷地斜面崩落事故を巡る訴訟で、横浜地裁は管理会社側に賠償を命じた。亡くなった県立高校3年の女子生徒=当時(18)=の父親(57)は会見で、時折目を潤ませながら判決を評価した。

 約3年10カ月前、道を歩いていただけの娘を約66トンもの土砂が襲った。

 事故前日、斜面に亀裂が見つかり、マンション管理会社の元担当者に伝えられていたが、対策はなされなかった。元担当者は業務上過失致死容疑で書類送検されたが、2日前の13日に不起訴に。怒りややり切れなさを抱えたまま、判決の日を迎えた。

 「良かった」。判決を聞いた瞬間、素直にそう思えた。地裁は亀裂を把握したのに措置を講じなかったとし、元担当者の不法行為責任を認めた。父親は「われわれ市民が普通に生活していて『これなら危ない』『こういう状態だったら何かしなきゃいけない』という当たり前の感覚を判断してくれた」と受け止める。

 会見に同席した代理人弁護士も「管理会社と担当者の法的責任について全面的に認めた」とし、「『敷地外の通行人の安全にも配慮せよ』と裁判所が判断したインパクトは極めて大きい」と評価する。

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