雲仙・仁田峠循環道路の通行予約実験 紅葉見物車両減で2年連続渋滞ゼロ

出発の手続きをするシャトルバス利用者=雲仙市小浜町、雲仙BASE(雲仙観光局提供)

 紅葉シーズンに多くの観光客らでにぎわう、お山雲仙-。長年の課題となっていた混雑緩和を目指し、地元の雲仙市や長崎県、観光団体などが昨秋と今秋、仁田峠循環道路で実施した予約制通行の実証実験の結果、いずれも目立った渋滞は発生しなかった。ただ実験前に比べ、車両数は4分の3程度に減少し、「手続きが面倒」といった苦情なども寄せられた。関係団体はこの2年間の結果を分析し、今後の方向性を決めたいとしている。
 同道路は雲仙の国道57号から仁田峠を経て国道389号に至る約8キロの一方通行道路で、勾配がきつく急カーブも多い。関係者は、妙見岳中腹の仁田峠には大型駐車場があるものの、紅葉ピーク期に登山客が長時間駐車しているため、車の出入りが悪くなり、渋滞が発生していると分析。通常約10分の所要時間が2時間かかることもあり、何らかの対策が求められていた。
 実験期間は10月最終週から11月第1週の土日祝日の計5日間。▽主に登山客向けのシャトルバス利用(仁田峠-雲仙BASE)▽自家用車通行-のいずれかを選択し、インターネットで事前予約する。シャトルバスは500円、自家用車は700円(当日800円)の協力金を支払う仕組みだ。
 その結果、2年続けて渋滞はゼロだった。実験中の5日間、同道路を通行した車両は昨年が5896台、今年が5648台。だが実験前年(2021年)の同時期の5日間(8054台)と比べると、通行量は昨年が27%、今年は30%減少していた。
 インターネット予約は利用日と時間帯の入力のほか、協力金のクレジットカードなどの決済手続きが必要。雲仙観光局には「混雑なく楽しめてよかった」「来年もやってほしい」など好意的な声が寄せられる一方で、「(予約手続きが)面倒」「カードの2段階認証ができない」などの苦情や問い合わせもあった。
 広大なフジ園で知られる北九州市の河内藤園も、見ごろを迎える春に道路渋滞で頭を悩ませ、16年から予約制を導入。当初は「手続きが煩わしい」といった声もあったが、5年ほどで制度は一定浸透したという。
 雲仙観光局は「予約できなかった人へは当日受け付けを案内し、混乱はなかった。費用を抑えるには今の予約システムが最善策。もっといい方法があれば改善する」としている。来年以降も予約制を続けるのか、予約の在り方は現状がベストなのか-。関係団体は来年春までに一定の結論を出す予定だ。

登山者向けシャトルバスのルート

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