宇宙航空研究開発機構（JAXA）は2023年12月6日、小惑星探査機「はやぶさ2」の拡張ミッション「はやぶさ2＃（はやぶさツーシャープ）」の探査対象のひとつである小惑星「2001 CC21」の命名キャンペーンを開始しました。応募期間は2024年5月9日までとなっています。【最終更新：2023年12月15日12時台】
【▲ 宇宙航空研究開発機構（JAXA）の小惑星探査機「はやぶさ2」の想像図（Credit: DLR）】
小惑星2001 CC21はアメリカのLINEAR（リンカーン地球近傍小惑星探査）プログラムによって2001年2月3日に発見された地球接近天体（Near Earth Object：NEO※）です。大きさは推定440～700mで、軌道長半径（太陽からの平均距離）1.03天文単位の軌道を1.05年周期で公転しています。
※…近日点距離（太陽に最も接近した時の距離）が1.3天文単位以下で、地球に接近する軌道を公転する小天体のこと。地球近傍天体とも。小惑星の場合は地球接近小惑星（地球近傍小惑星）とも呼ばれる。
はやぶさ2は小惑星「リュウグウ（Ryugu）」でのサンプル採取を終えた後、2020年12月6日に地球へ接近してサンプルを収めた回収カプセルを投下。その後は拡張ミッションを行うために地球を離れて飛行を続けています。
拡張ミッションでは2031年7月に小惑星「1998 KY26」へ到着して接近探査を行う予定ですが、その前の2026年7月に2001 CC21をフライバイ探査することになっています。はやぶさ2は2001 CC21と毎秒5kmの相対速度ですれ違いますが、この時に可能な限りギリギリまで接近して観測を行うことが計画されています。
【▲ なよろ市立天文台のピリカ望遠鏡で2023年1月15日に撮影された小惑星「2001 CC21」（Credit: 北海道大学）】
2001 CC21の名前を提案する権利は発見者のLINEARチームが有していますが、はやぶさ2拡張ミッションチームが願い出たところ、提案する名前は日本で募集・決定することになりました。LINEARチームははやぶさ2の探査対象だったリュウグウと、小惑星探査機「はやぶさ」の探査対象だった小惑星「イトカワ（Itokawa）」も発見しており、同チームが発見した小惑星の名前を日本から提案するのは2001 CC21が3回目となります。
今回の2001 CC21命名キャンペーンはオンラインで受け付けられていて、専用の入力フォームで以下の内容を入力・送信する必要があります。応募できるのは1人につき1件で、複数件応募した場合は最後の応募が有効となります。応募期間は2023年12月6日～2024年5月9日です。
・氏名
・メールアドレス
・提案する名称（※以下の規則を参照）
・提案する名称の種類
・提案する名称の説明、提案する理由など（自由入力）
また、天体の名前として提案できる名称は国際天文学連合（IAU）によって規則が定められています。JAXAによれば、以下の規則に反しない名称を提案することが求められています。
・アルファベットで16文字以下でなければならない。
・1語であることが望ましい。
・発音できるものでなければならない。
・offensiveな（不快な、感情を害するような、攻撃的な）ものであってはならない。
・既存の小惑星や天然の衛星と同じまたは似た名称であってはならない。
・戦争や政治に関連した出来事や人についての名称は、その出来事が起こってから、あるいはその人が死亡してから、100年を経過する必要がある。
・ペットの名前は推奨されない。
・商業的または主に商業に関係した名称は許可されない。
・NEO（地球接近天体）については、一般には神話に由来した名称を付ける。
なお、最後の条件については絶対ではなく、神話由来ではない名称を提案することも可能とされています。たとえば「はやぶさ」が探査した小惑星イトカワも地球接近天体のひとつですが、その名前は日本の宇宙開発草創期に活躍した糸川英夫氏にちなんでいます。
JAXAによると、締め切り後は応募された名称を集計し、提案された件数が多いものを優先しつつ名称が選定されます（最多件数の名称が選ばれるとは限りません）。選定には公益財団法人 日本宇宙少年団（YAC）と認定NPO法人 子ども・宇宙・未来の会（KU-MA）の小中学生も協力します。
選定は2024年夏頃までに行われる予定で、選ばれた名称はLINEARチームからIAUに提案されます。最終的に選ばれた名称を応募した人には、はやぶさ2拡張ミッションチームから記念品が贈呈されるということです。応募を考えている方はJAXAが公開している以下の記事を是非ご一読下さい。
・CC21命名キャンペーン 小惑星2001 CC21の名称を募集します！
https://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20231206_CC21Camp/
Source
文／sorae編集部
