冬のボーナス不支給の「サマンサタバサ」赤字解消のカギを握るのは?

神戸市内のアウトレット店

女性用のバッグやジュエリー、アパレルなどを手がけるサマンサタバサジャパンリミテッド<7829>が5期連続の営業赤字に陥ることになった。

同社は2023年12月12日に、2024年2月期の営業損益が10億円を超える赤字になると発表した。経常損益、当期損益も赤字幅が10億円を超える。

2023年10月時点まで黒字を見込んでいたが、暖冬の影響などで来店客数が減少し売り上げが落ち込んだため、業績予想を下方修正した。この事態を踏まえ手元流動性の確保を目的に、冬期賞与を支給しないことを決めた。

今後はインバウンド(訪日客)需要の取り込みのほか、新たな季節対応型商品やコラボ商品の投入などに取り組み、赤字からの脱却を目指すという。ハリウッドセレブらを広告に起用しブランド価値を高めてきたサマンサタバサが、水面に浮上できるのはいつになるだろうか。

手元流動性の確保が最優先課題

サマンサタバサは2024年2月期の売上高を2023年10月時点での予想から24億7900万円少ない236億4000万円(前年度比6.3%減)引き下げた。

暖冬の影響で来店客数が8割程度にとどまるためで、この影響で4億3000万円の黒字を見込んでいた営業損益は10億5000万円の赤字(前年度は17億1700万円の赤字)に転落する。

経常損益は2億4100万円の黒字から12億2500万円の赤字(同15億4800万円の赤字)に、当期損益は3億2600万円の黒字から11億4000万円(同19億9600万円の赤字)の赤字になる。

この結果、「手元流動性の確保が経営の最優先課題」とし、2023年12月に支給する予定だった賞与を支給しないことを決めたという。

天候に足を引っ張られ赤字に

サマンサタバサは業績が悪化したことから、2019年に紳士服販売大手コナカ<7494>と資本業務提携し、コナカの持ち分法適用関連会社となった。このあと、2020年にはシューズやバッグなどを取り扱うコナカの子会社と合併し、コナカの傘下に入った。

コナカ主導で再建に取り組んだが、業績は改善せず、コロナ禍なども重なり、2020年2月期から2023年2月期まで4期連続の営業赤字となっていた。

2024年2月期は、構造的な体質改善や、新業態事業モデル店舗の出店拡大、物流拠点の統廃合などに取り組んだ結果、販管費が低減するなどの効果が表れていた。

売上高もインバウンド需要がコロナ禍前の2019年の水準まで回復するなど、黒字化に向け順調に進んでいたが、天候に足を引っ張られる形となった。

今後は、回復傾向が鮮明なインバウンド需要の取り込みに力を入れるほか、前年度にはなかった季節対応型商品や、戦略的ブランドパートナー企業とのコラボ商品などを投入することで、売り上げアップにつなげる。

インバウンドと新商品は黒字化にどこまで貢献できるだろうか。

2024/2は予想

文:M&A Online

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