使用後のネスレ紙パッケージなどをアップサイクルした生地に加賀友禅 絹とは異なり“洗って普段使いできる”新発見も

アップサイクルでつくられた紙糸「TSUMUGI」で編まれた生地に 石川県・金沢独自の染色技法・加賀友禅を導入した「アップサイクル加賀友禅手ぬぐい」が12月8日に販売開始された。

「TSUMUGI」は、ネスレ日本製品の紙パッケージなどの使用後の紙資源や未利用の間伐材を組み合わせてつくられた和紙を1.5ミリ程度に裁断したもの。

アップサイクルの啓発が目的。本来、廃棄予定のものを資源として有効活用して地球環境に貢献していくサーキュラーエコノミーを啓発して参画を促していく。

加賀友禅を新たな切り口でみせることで伝統の技を次世代につなげていく狙いもある。

「アップサイクル加賀友禅手ぬぐい」は、友禅作家で一般社団法人アップサイクル参画企業の毎田染画工芸の毎田仁嗣さん監修のもと、京都精華大学芸術学部の学生が友禅の伝統的な技法を踏まえながらも環境や共生をテーマに独自の視点で原画を制作し、それを「TSUMUGI」の生地に流用した。

左から京都精華大学芸術学部の鳥羽美花教授、前田乃愛さん、毎田染画工芸の毎田仁嗣さん、亀田ひなたさん、一般社団法人アップサイクルの瀧井和篤事務局長(ネスレ日本)、菊池優惟子さん

8日開催された発表会で毎田さんは「絹は光沢感があり友禅染めとの相性が最もよい。アップサイクル生地のよさは“使えるもの”になるというところが大きい」と語る。

加賀友禅の絹は、飾る用途や着物としての利用に限られるが、加賀友禅の「TSUMUGI」は洗うなど普段使いできるという。
「今回は手ぬぐいを販売したが、生地は非常にやわらかく、いろいろな展開ができる」と期待を寄せる。

染料は、絹で使用する染料とは異なる綿に使用するものに近しいものを使用している。

友禅染めには12から15の工程があり全て手作業で行われる。通常は分業で行われ、いくつかの工房を経て友禅染めが完成する。

毎田染画工芸では一貫生産体制のため、今回の取り組みに力を発揮した。

「アップサイクル加賀友禅手ぬぐい」は、毎田染画工芸とメトロ・エム後楽園(東京都文京区)に入居する外食店「クラフト&テロワージュ」、ECサイトで発売されている。

デザイン・コンセプトは4種類をラインアップ。販売価格は税込2990円。

© 株式会社食品新聞社