鉄道を愛する記者コラム JR北海道「単独では維持困難」な花咲線に乗る

日本最東端の駅・東根室

 今回、道東の旅で、もう一カ所訪れたのが花咲線。JR北海道根室線のうち、釧路―根室間約135.4キロの愛称。JR北海道が「単独では維持困難」とする、先行きは明るくない区間だ。

 乗ってみたのは土曜日の朝8時台の釧路発。沿線の湿地で谷地坊主(やちぼうず)に出会い、厚岸湖(あっけしこ)、別寒辺牛湿原(べかんべうししつげん)で水鳥の羽ばたきを見つめ、太平洋の波が押し寄せる壮大な落石海岸(おちいしかいがん)の光景を眺めた。

 1両だけの列車。20人ほどの乗客は、厚岸で半分降り、残りは根室まで乗り通した。その中には一眼カメラで風景を撮りまくる外国人男女。また日本最東端駅の東根室では外国人の若者が列車に手を振った。花咲線の良さは海外にも伝わっている。

 だが拠点駅以外の乗降客はほとんどいない。並行する自動車専用道路の整備も進む。鉄道の役割は衰える一方なのだろう。

 釧路への戻る列車では、予約していた厚岸駅の名物駅弁「かきめし弁当」を、ホームまで届けてもらい、パクついた。牡蠣まつりの客もホームにあふれていた。絶景に加え、美味も味わえる花咲線、大事にしたい人はまだまだ残っている。

 次に来る時は、列車を降りて少し歩こうと思った。そして絶景の中の花咲線を見てみようと。(a)

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