石川啄木の父直筆とみられる短冊、国際学会盛岡支部に寄贈

山田武秋支部長に短冊を手渡す塩浦彰さん(左)

 石川啄木の父一禎(いってい)(1850~1927年)直筆とみられる歌の短冊が23日、国際啄木学会盛岡支部(山田武秋支部長)へ贈られた。関係者らは古里への寄贈を喜ぶとともに一禎、啄木の研究の広がりに期待する。

 短冊は縦36センチ、横6センチの紙製で「山見れば霞(かすみ)たなびき川見ればこほり流れて春は来にけり」と墨で書かれている。春を迎えた自然を見つめる一首。「春は来にけり」は一禎が好んだ表現で、他の歌にも確認できる。

 短冊は啄木の長女京子の夫が勤務先の同僚へ贈ったものとみられる。その後の経緯は不明だが、古書目録に載っていたところを、同学会新潟支部前支部長の塩浦彰さん(88)=新潟市=が2010年に購入し、保管していた。

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