【2023年で引退した名選手➀】ベネズエラ出身最強打者にして最後の三冠王

毎年、期待の有望株がメジャーデビューを飾ってファンを沸かせているなか、一時代を築いたスター選手がユニフォームを脱いでいる。2012年に45年ぶりとなる三冠王に輝き、「最後の三冠王」として長く活躍してきたミゲル・カブレラが、その輝かしい21年の現役生活に幕を下ろした。

2003年、フロリダ(現マイアミ)・マーリンズで20歳63日の若さでメジャーデビューしたミゲル・カブレラは、その試合でサヨナラ本塁打を放ち、鮮烈なデビューを飾った。

その年、チームはワールドシリーズに進出し、カブレラはヤンキースの名投手ロジャー・クレメンスから本塁打を放つなど、若くしてチームの世界一に貢献する。翌2004年には日米野球のメンバーにも選出され、来日した。

2007年には自身2度目の3割・30本塁打・100打点を達成し、メジャー史上3番目の若さとなる24歳139日で通算500打点を記録。その年のオフに大型トレードでタイガースに移籍すると、以降もチームの中心打者として首位打者4回、本塁打王2回、打点王2回を獲得し、2012~13年には2年連続でMVPにも輝いた。

数々の記録を残したカブレラだが、彼の現役生活を語るうえで欠かせない偉業は、やはり2012年の三冠王だろう。161試合に出場して、打率.330、44本塁打、139打点という好成績を残し、カール・ヤストレムスキー以来45年ぶりとなる打者三冠王を達成した。

MVP投票では、ルーキーだったエンゼルスのマイク・トラウトが走攻守でセンセーショナルな活躍を見せ、選手の貢献度を示すWARでカブレラを超える7.1を記録したため、トラウトをMVPに推す声もあったが、45年ぶりの偉業を達成したカブレラがベネズエラ出身選手として初のMVPを受賞した。

2010年代のメジャーリーグにおける最強打者の1人として活躍したミゲル・カブレラ。現役生活21年間でベネズエラ出身選手最多となる3174安打(歴代17位)、511本塁打(25位)、1881打点(13位)という偉大な成績を残した。

大谷翔平のファンとしても知られるカブレラは、試合中に大谷にちょっかいを出す明るいキャラクターでもあり、タイガースは公式X(旧Twitter)で「ミギーはショウヘイと一緒にミギーらしくいる」とつづって動画を公開したこともある。

現役最後の試合となった日本時間10月2日の本拠地コメリカ・パークには4万1425人ものファンが詰めかけ、カブレラは「3番・指名打者」で先発出場した。

「メジャーで21年間プレーでき、『さよなら』を言うことができてよかった」と感無量のカブレラに、スタンドのファンから感謝の拍手が鳴りやむことはなかった。2010年代を代表する打者の1人であり、数々の名シーンを見せてくれたミゲル・カブレラ。彼が次に大歓声のなかで祝福を受けるのは、きっと、殿堂入り式典のときだろう。

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