発表に向けて企業や研究者からの知識をインプット

オンラインでワークショップを受ける参加者

48人の高校生が複雑な社会・環境問題を解決するために、“異分野融合”の視点で研究を行うプログラム「IHRP(Interdisciplinary High School Research Program)2023」は、8月に行われたサマーキャンプを終え、個々の研究テーマに必要な知識を身につけるインプット期に入りました。今回のテーマである「青い、地球の、課題。」としてそれぞれが課題意識を持っているテーマについての学びを深めました。(本文寄稿・IHRP=半田かのん、森垣穂香)

インプット期の主軸は、毎週末オンラインで開催されるワークショップです。大学の先生や研究者を1人ずつお迎えし、先生方の各専門分野のお話をしていただきました。その中で、氷点体という宇宙分野の話から、川における生物多様性の話など、幅広い分野の調査方法や研究内容を学びました。参加者は実態を学んだ上で、例えば水に関する課題に挑戦する時には、1つの分野に限らず多分野から横断的に見つめる必要性に気づいたようでした。まさに、理系・文系の垣根を超える「異文化融合」の基礎となる思考です。

オンラインでワークショップを受ける参加者

加えて、富士通との共同ワークショップも開催されました。国内外の科学技術や医学薬学関係の文献を効率よく検索できる日本最大の科学技術文献データベース”JDreamⅢ”をご紹介いただきました。AI技術を活用することで従来の文献検索における課題を解決し、データの集計、分析、視覚化まで可能にした点は大勢の研究者の手助けとなり、学術分野の飛躍的推進の可能性を感じました。これは、結果的に社会に大きなインパクトを与えるものです。また、今回のワークショップをきっかけに、IHRPのメンバーもJDreamⅢを研究に活用していくことができるようになりました。

JDreamⅢの説明を受けた後、参加者は社員の方々からフィードバックをいただきました。参加者は、自分の研究を第三者にわかりやすく説明することで、改めて自分で気づいたり、今まで気づかなかったことを指摘していただいたりして、勉強になったようです。企業の専門家にアドバイスしていただくことで、自分の研究には「何が必要で、何が大切なのか」を客観的に知ることができ、今後の研究においても軸となるポイントができたという感想がありました。

そのほか、参加者同士が研究を助け合うサポーター制度も始まり、1~2週間に1回ペースで、5人程度の参加者同士で進捗を共有したり、行き詰まっている内容の相談をし合ったりしています。こうしたことで、一人ひとりが持っている研究経験や知識から参加者同士が補完し合い、研究に相乗的な磨きをかけることにつながっていきました。また、参加者だけでなく運営スタッフも、各研究分野に適した運営を目指しプロポーザルの添削や研究の進捗をサポートしています。

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