川崎の児童養護施設にクリスマスプレゼント 「映画で夢や目標を」市内の会社員がチケット寄贈続ける

三浦園長(左)に映画チケットを手渡す川辺さん=川崎市中原区の児童養護施設「新日本学園」

 川崎市中原区の児童養護施設「新日本学園」の子どもたちに毎年、クリスマスプレゼントとして映画チケットを寄贈している男性がいる。中高生時代に映画を見て、苦しかった時期を乗り越えた経験があるという同区在住の会社員川辺出さん(45)だ。「エンターテインメントを地域のために役立て、楽しい思い出をつくってほしい」と活動を続ける。

 「映画を通じて、いろいろな世界を知り、将来の夢や目標ができたらいいな」

 今月21日。新日本学園を訪れた川辺さんはそう言って、柔和な笑みを浮かべた。10万円分の映画チケットが入った小袋を大事そうに抱えていた。

 新日本学園では現在、5~19歳の子ども約40人が生活する。子どもたちの多くはこの日、学校に登校して不在だったが、映画を見に行くのを楽しみにしているという。チケットを受け取った三浦崇志園長は「はやりの映画が始まり、子どもたちが見に行きたがった時にいつでも行ける。感謝の気持ちでいっぱい」と話した。

 児童養護施設の子どもたちは小遣いが限られ、映画を見る余裕はあまりなく、はやりの映画を話題にする友人たちの輪に入れず悔しい思いをすることもあるという。川辺さんの活動は、そうした子どもたちに手を差し伸べ、生活を豊かにする一助となっている。見てきた映画のキャラクターのまねをして遊び、月日がたっても「映画は楽しかった」と言って思い出す子どももいるという。 

© 株式会社神奈川新聞社