1年ぶりに景況判断「上昇」超に 山口財務事務所の企業景気調査

財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)はこのほど、四半期ごとに実施している「法人企業景気予測調査」の結果をまとめた。調査時点は11月15日で、今期(2023年10~12月)の現状、翌期(2024年1~3月)の見通し、翌々期(同年4~6月)の見通しについて山口県内113社に聞き、回答は108社から寄せられた。内訳は、製造業が46社(42.6%)で、非製造業が62社(57.4%)。企業規模別に見ると、大企業(資本金10億円以上)が24社(22.2%)、中堅企業(同1億円以上10億円未満)が22社(20.4%)、中小企業(同1000万円以上1億円未満)が62社(57.4%)だ。

 

 まず、今期の「景況判断」が、前期に比べ「上昇」したと答えた企業は23.1%で、「下降」と回答したのは20.4%。BSI(「上昇」と答えた企業割合から「下降」と答えた企業割合を引いた景況判断指数=ビジネス・サーベイ・インデックス)は2.8ポイントで、2022年10~12月期(1.9ポイント)以来1年ぶりの「上昇」超となった。ちなみに、前期はマイナス3.7ポイントで、前々期は0.0ポイントだった。

 

 業種別に見ると、製造業は0.0ポイントで、非製造業は4.8ポイントのプラス。規模別では、大企業はマイナス4.2ポイントで、中堅企業は9.1ポイント、中小企業は3.2ポイントのプラスだった。

 

 全体の先行きについては、翌期は11.1ポイントのマイナス、翌々期は0.0ポイントの見通しだ。

 

 次に、2023年度の「売上高」(回答83社)は、前年度比4.7%の減収見込み。製造業は、その他の輸送機械などで増収となるものの、石油・石炭、化学などの減収により、5.6%の減収見込み。一方非製造業は、娯楽などで減収だが、小売りや運輸・郵便が増収で、2.7%の増収見込みとなっている。

 

 また、2023年度の「経常利益」(同83社)は、前年度比19.1%の増益見込み。製造業は、情報通信機械などが減益だが、化学やパルプ・紙などで増益となり、20.8%の増益見込み。非製造業は、運輸・郵便などが減益だが、情報通信や学術研究・専門・技術サービスなどで増益となり、3.8%の増益見込みだ。

 

 そして、2023年度の「設備投資」(同90社)計画は、前年度比28.6%の増加見込み。製造業は、その他の輸送用機械などで減少するが、化学や電気機械などで増加し、23.1%の増加見込み。非製造業は、小売りなどで減少するものの、運輸・郵便、金融・保険などで増加するため、61.4%の増加見込みだ。規模別に見ると、大企業(18.8%)、中堅企業(152.4%)は増加だが、中小企業(マイナス9.0%)は減少の見込み。

 

 「雇用」の現状BSI(同103社)は、28.2ポイントで、41期連続での「不足気味」超。翌期(27.2ポイント)、翌々期(22.3ポイント)も「不足気味」超は続く見通しだ。

 

 

回答企業からの声

 

 回答企業からは「建設需要が低迷しており、売り上げが減少している(窯業・土石)、「インバウンドの増加などもあり、旅館や飲食店向け需要は着実に上がってきており、売り上げが増加している」(食料品)、「原材料価格の上昇分を価格転嫁できるようになってきており、売り上げが増加している」(パルプ・紙・紙加工品)、「受注は増加しているものの、人件費などのコストの増加が利益を圧縮している」(その他のサービス)、「外出需要が回復し、貸し切りバスの需要が増えている。国際クルーズ船の寄港で、インバウンド向けのバスの需要も生じている」(運輸、郵便)、「結婚式などのセレモニーが開催されるようになり、礼服などの需要が増加している」(小売り)などの声が聞かれた。

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