箱根駅伝5区でコースから外れた「函嶺洞門」 10年ぶりに一般公開へ

パイパス供用に伴い、フェンスで閉鎖されている函嶺洞門=26日、箱根町湯本

 今回で100回目を迎える東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)のコースにも使われていた国指定重要文化財の「函嶺洞門(かんれいどうもん)」(箱根町湯本)が、来年1月2~8日に一般公開される。2014年に函嶺洞門バイパスの供用を開始してから現在まで通行止めになっているが、100回大会に合わせて県が公開を決めた。

 箱根登山線箱根湯本駅から約1キロ西にある函嶺洞門は、鉄筋コンクリート造で幅6.3メートル、延長101メートルのトンネル状の構造物。関東大震災で斜面が崩落し、その後も落石リスクが高いとして国道1号の湯本地区周辺を走行する車両の防護のために1931年に設置された。その後、大型車の普及や交通量の増加に伴い、車同士のすれ違いが困難になり、渋滞が慢性的に発生。そのため県は2014年に函嶺洞門を迂回(うかい)するバイパス道路を整備した。洞門の周囲にはフェンスが設置され、立ち入ることができなくなった。

 洞門沿いは今も斜面崩落や落石のリスクが高く、県は斜面の防護策などを講じてきた。その工事が今年6月に完了したため、安全性が確保されたとして10年ぶりに洞門内の一般公開に踏み切ることにした。

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