辺野古巡り沖縄県と国の溝が深まる一方

 沖縄県名護市辺野古での基地建設を巡り、沖縄県と国との溝が深まる一方だ。新たな埋め立てエリアへの工事に必要な防衛省の設計変更申請に対し沖縄県の玉城デニー知事は不承認を表明、このため国は福岡高裁那覇支部で勝訴したのを受け、28日、斉藤鉄夫国交大臣が承認手続きに入った。1月にも工事を始める見通しになった。

 沖縄県は判決を不服として27日に最高裁に上告している。そもそも、新たな埋め立てエリアの軟弱地盤の広がりに対する安全性確保への政府説明には疑問視する専門家も少なくない。国民への説明も十分とはいえない。

 加えて10月1日の新聞赤旗日曜版は「防衛省沖縄防衛局が耐震設計に使っていた『レベル1地震動』のデータが2018年に大幅改定された新港湾基準でなく、2007年の旧港湾基準にもとづいたもので、それを新港湾基準に基づいて作ったとウソの説明を沖縄県に行った」と報じている。

 新基準ではレベル1地震動での揺れのピークを示す最大加速度は約66ガル、旧基準は約40ガルだった。地盤工学が専門の日本大学・鎌尾彰司教授は赤旗編集部の問いに「設計の大前提が崩れる危険性があり、設計を変えなくてはならない可能性も出てくる。沖縄県は説明を求めるべき」と助言している。

 政府は抑止力を維持しながらの普天間飛行場代替基地は「名護市辺野古が唯一の解決策」と繰り返し強調するのみで再検討の余地は全くない姿勢を崩していない。辺野古への基地建設を巡る疑問への説明が地元民はじめ国民に対して求められている。(編集担当:森高龍二)

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