グリーフケア 修復技術で支援 おもかげ代表 嘉陽果林さん【2024沖縄の輝く女性たち・PR】

一人一人の遺体に向き合い、オーダーメードの処置を施す(撮影場所・与那原町の直葬センター花水木)

 「家族のグリーフケアに重点を置き、心穏やかに故人を見送るサポートに徹したい」。県内で唯一の遺体管理専門会社を運営するおもかげ(浦添市)代表の嘉陽果林さんは、故人のメークや着付けだけでなく遺体の修復も手掛ける。病気で痩せて別人のようになっていたり、事故などで顔が損傷していたり、時間経過による肌の変色があるなど、遺体の状態を目の当たりにして戸惑う遺族は少なくない。嘉陽さんは一人一人の遺体に向き合い、オーダーメードで処置を施す。

 腹水などの水分を抜いて遺体を綺麗な状態に保つ技術や、外見を復元する特殊なメークや人工皮膚移植は、嘉陽さんがこれまでの経験の中で生み出した独自の技術だ。出棺の日まで毎日自宅に通い、遺体の変化に合わせてメークを施す。同時に大切にするのが遺族の心のケアだ。出棺までの期間、故人とどう過ごしたいかを細かくヒアリングして工夫する。「手を握り、マッサージしてあげたい」といった声には、遺体がドライアイスで固まる前に手を組みほどき、遺族が触れられる状態を作ってその思いに応えた。「触れ合いを通じて、遺族が死を受け入れ、心穏やかに見送ることができる」と意義を語る。故人を在りし日の姿に近づけ、火葬までの限られた時間、丁寧に家族とつなぐ。

 今年は子を亡くした遺族のグリーフケアにも注力する。悲しみが深く、より細かいケアが必要と感じる一方、亡くした子との最後の過ごし方に選択肢があると知らないまま「お別れ」を余儀なくされる家族の姿に心を痛める。「沐浴やタオル人形作りなど、最後まで長く子どもに寄り添う時間を提供してあげたい」と話す。今後は小児科や医療機関との連携でシームレスな遺族サポート体制の構築を模索する。医療従事者向け勉強会も積極的に開催し、新たな分野で挑戦を続ける。

 かよう・かりん
 浦添市在住。東京でバスガイドとして勤務後、沖縄へ移住。2017年、県内初の遺体管理会社「おもかげ」を設立し、遺体修復と遺族のグリーフケアを担う。上級終活カウンセラー、京都グリーフケア協会認定上級グリーフサポーター。2児の母。

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 新しい年を迎えました。沖縄のビジネスシーンで活躍する女性を紹介する本企画「沖縄の輝く女性たち」は、開始から20年以上になります。男女雇用機会均等法が成立後38年が過ぎても女性管理職の割合は12.7%にとどまり、政府が2003年以降、指導的地位の女性を少なくとも30%にという目標を掲げる中、国内の女性社長の比率は1割に満たない8.2%です。そのような社会状況の中、女性リーダーの存在に注目し掘り起こす意義はいまだ大きいと考えます。生き生きと自分の道を歩む女性たちの姿は、同じ女性のみならず、先の見えない時代の中で懸命に前に進もうとするすべての人に力を与えてくれます。

 希望あふれる新年に、沖縄のビジネスシーンで活躍する女性たちを紹介します。2022年の国内の女性社長の比率(帝国データバンク調べ)を都道府県別にみると、沖縄は11.6%でトップでした。全国1位とはいえ、1割をようやく超えたところであり、女性活躍の推進はまだ道半ば。その中でも女性たちは、自分の信じた道をまい進し、飛躍に向け日々を積み重ねています。紙面を通じて女性リーダーのパワーを発信し、活躍を期待したいと思います。(企画・制作 沖縄タイムス社営業局)

「心穏やかに故人を送るサポートに徹したい」と話す嘉陽果林代表

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