大阪大学とGoogle、AI技術を活用した皮膚状態検出モデルの有効性を共同研究

大阪大学大学院医学系研究科の藤本学教授(皮膚科学)らの研究グループは、グーグル合同会社(Google)と、AI技術を活用した皮膚状態検出モデルの有効性を検証するための共同研究契約を2023年8月8日に締結した。

皮膚の状態に不安を抱える人は世界で約20億人いるとされ、そのうち約70%以上の人が、まずインターネットで検索をして、症状の特定や治療法を探しはじめる。一方で、オンライン上には不正確な情報や有害な情報も存在する。

Googleは外部の専門家らとともに、写真に基づいて皮膚の状態を検出する機械学習モデルを開発し、2020年にNature Medicineで発表した。さらに2023年、このモデルを活用して、ユーザーがGoogle Lensで皮膚の状態を検索できる機能を提供した。これらの機械学習を活用することで、オンライン上の不正確な情報に頼らず、あらゆる人が皮膚の状態や治療法に関するより適切な情報にアクセスすることが可能になる。

今回の共同研究では、Googleが開発した、写真に基づいて皮膚の状態を検出する機械学習モデルについて、日本における有効性の評価と検出精度の向上に取り組む。AIモデルを安全に運用するためには、多数の異なる集団での有効性を評価する必要があり、共同研究では、大阪大学医学部附属病院で撮影された約10,000人の皮膚写真を個人が特定できないように完全に匿名化し、また高水準のセキュリティと暗号化の基準に準拠した環境下で保存した上で、解析。研究に使用されるデータは大阪大学大学院医学系研究科が管理し、個人を特定できる情報は研究者が解析を行う前に完全に削除される。共同研究を通じて、皮膚疾患検出におけるAIモデルの公平性をより高め、日本だけでなく、世界中のあらゆる人が皮膚の状態や治療法に関するより適切な情報にアクセスできるよう取り組んでいく。

藤本学教授は「皮膚疾患は、見た目に変化が生じ、かゆみや痛みがあったりして生活の質を落とし、ときには生命に関わることもあります。夜間や勤務中など、急に発症することもあり、信頼している皮膚科医師をすぐに受診できないことがあるかもしれません。このような問題に対し、GoogleのAI技術は新しい解決策を提供できる可能性があります。このAI技術を用いれば、世界中の誰もが、皮膚疾患に関する正確な情報に気軽にアクセスでき、いつでもどこでも利用できるようになります。この技術によって、皮膚疾患に悩む多くの方々が、より正確な情報を得ることができ、皮膚に関する悩み解決の一助になることが期待されます」とコメントしている。

参考:【大阪大学大学院医学系研究科・医学部】AI技術を活用した皮膚状態検出モデル検証 Googleとの共同研究を開始 ~皮膚疾患に悩むすべての人に正確な情報を~

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