一時期はすごかったけど、なぜか消えたルアーたち。奥村和正が武器にしていたルアーとは。

かつては強大な威力を誇り、奥村さん自身も武器にしていたルアーたち。しかし、なぜ使わなくなってしまったのか… そのワケを語っていただこう。

●文/写真:望月俊典

― Profile

奥村和正(おくむら・かずまさ)
京都府出身、在住。1990年代初頭から琵琶湖のレンタルボートで本格的に腕を磨き、ついに10週連続で50アップをキャッチ。それをきっかけにメディア登場。以後、今日まででかバス釣りの魅力を世に伝え続けている。1997年にルアービルダーとして衝撃のデビューを飾ったBカスタムは、四半世紀以上経った今も第一線で活躍中。デプス社代表兼、ルアーデザイナー。

― ビッグベイト旋風の立役者たち

― 一時期はすごかったけど、なぜか消えたルアーってあるじゃないですか?

奥村 「覚えてないよ、そんなに。ヒントを出してくれたら思い出すと思うけどな」

― じゃあ、例えばビッグベイトはいかがですか? 初期でいうと…。

奥村 「タロンとかやな。一世を風靡したよね。キャスティークも釣れたけど壊れやすかったからね。後ろのボディだけ飛んでいく、それを繰り返し補修しながら使っていた」

― その後ハード系が人気に。

奥村 「うん、モンスタージャックが出て、ジョインテッドクローとかも。その辺りからスイムベイトとビッグベイトに分かれた感じやね」

― のちにBカスタムが駆逐したのは?

― では、奥村さんが大得意だったスピナーベイトは?

奥村 「俺が好きだったのはブルドッグとボッシュ。ボッシュはアバロンヘッドとかスローローラーとか」

― その当時はバイブラシャフトが定番だったのでは?

奥村 「バイブラはあんまり好きじゃなかった。もちろん、全て使ってたけど、特にボッシュはほんまに釣れたね」

― 恐竜を絶滅させた隕石のようなルアーは?

― では、奥村さんも使い込んでいたディープクランクは?

奥村 「まあ、当時のディープクランクといえばDB3マグナムかDD22っていう感じだった。けど… 劇的に重い。引き重りがすごい。それは百歩譲っていいとして、飛ばない。ただ、ディープショットはDD22のいいとこ取りしたようなルアーで、ちょっと小ぶりだけど、重心移動じゃないのに飛んで、巻きも軽かった。その後、マッドペッパーマグナムが重心移動を搭載して、あれがもう衝撃やったな。めちゃめちゃ釣れて一世風靡したね」

― でかバスミノーはロングビル?

奥村 「ミノーなら、T.D.ミノーロングビルのサスペンド。ポンプリトリーブで使うやつや。あれはのちのバリソンミノーロングビルのお手本になった」

― ショートビル系だと?

奥村 「T.D.ミノー、M-1ミノーも使ったな。でも大きいのが釣れるイメージがあまりなくて、さほどマニアックに突っ込まなかったな。実際は釣れるけど」

― 誤解が生んだ別れもある

― では、トップウォーターは? あんまり他社ルアーのイメージがないですが…。

奥村 「昔はめっちゃ使ってたよ。記憶に新しいのはジャイアント・ドッグ-Xとか。フィッシングショーのメガバスブースで使い方を解説したこともあるよ」

― え、マジっすか?

奥村 「マジで。よそのメーカーの人がメガバスブースに… ってザワついてたよ」

― それなのになぜ使わなくなったのですかね?

奥村 「これはのちに軌道修正したんやけど、ジャイアント・ドッグ-Xというか、琵琶湖でトップウォーターが釣れる季節っていうのがズレた。例年なら今くらいから釣れるよね…っていうタイミングで釣れなくなった。少し経ってから釣れるようになったけど、それに気づかずに、釣れなくなったと思って使わなくなってしまった。フロリダの血が濃くなったのと、ブルーギルがメインベイトになったのとでバスの動きが変わったんやね」

釣れなくなったとは限らへんで

― なぜか釣れてなぜか釣れなくなる、ワームの迷宮

― ワーム系はどうでしょう?

奥村 「ソーバグ、ギドバグ」

― ソーバグはでかバスハンター御用達でしたよね。

奥村 「そう。マジで何も動いてない。こうやって(ぼーっと)落ちていくだけ。けど、釣れたね」

― なんでですかね?

奥村 「わからへん。でもだんだん釣れなくなったよな。あと、エアハンドクローも釣れたな。ツメのところにラトルを入れられるやつ。ビッグワグっていうカーリーテールも何年かは釣れてた。ケイテックがリメイクしたけどね。でもズームのビッグデッドリンガーはいまだに釣れる」

― 何が違うんですかね?

奥村 「波動が全然違う。ビッグワグはしっかりした動きで、強すぎたのかもしれん」

― ストレート系はあります?

奥村 「ウェスティワームに始まり…」

― めちゃ硬いヤツでしたっけ?

奥村 「そうそう、飲まれると大変なヤツ。そのあとはトーナメントクローラーやな。結局、塩が入ってないと釣れへん、みたいな感じになってなくなったね。でも今は逆にノンソルトの方向に行ってるけどな」

― ウェポンⅡの電撃!

奥村 「ラバージグはウェポンⅡをよく使ってたね。当時はフリッピンジグばっかりだったけど、それは違った。フックは小さめでガードも弱め、扁平なヘッド。のちのスライディングジグです。今江さんが使ってたのを真似したのが最初。今江さんはスライディングジグが出たとき、すぐに溺愛してくれたからね。やっぱりウェポンⅡ使ってた人だからわかるんや、って」

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