上越にも津波到達 海底活断層に大きなずれ 能登半島地震 名古屋大・鈴木康弘教授に聞く

関川、保倉川合流点付近の津波の動画。白波を立てて押し寄せ、堤防などを越えている(国交省高田河川国道事務所カメラから、河口から約600メートル)

元日に起きた能登半島地震では上越3市で震度5強を観測し、沿岸に津波が押し寄せ、川を遡上(そじょう)し、被害をもたらした。津波や今後の余震、別の場所を震源とする地震の可能性、備えておくべき点などについて、日本活断層学会会長、日本地理学会災害対応委員会委員長の鈴木康弘・名古屋大教授に聞いた。

◇訓練と避難場所確保を

―なぜ、今回の地震で上越沿岸にも大きな津波が到達したのでしょうか。

地震は断層がずれることによって起こる。今回の断層は海底にあり、地震の規模(マグニチュード)が大きかったため、海底の隆起と沈降量が大きくなり、断層付近で海面が大きく変動した。それが波紋のように広がり、今回は陸地に到達した。

能登半島のすぐ北をほぼ東西に延びる海底活断層が大きくずれたために、大きな津波が起こったということになる。

―今後数年程度のスパンで、今回と同規模か上回る規模の地震、それによる津波が発生する可能性は。ハード、ソフト両面で必要な備えは。

佐渡島周辺やさらに北方にも今回は活動していない海底活断層があり、こうした津波が起きる可能性はある。津波想定は各自治体においてもされているはずなので、津波ハザードマップをまず取り寄せてよく見ること。こうした整備がもしも遅れていたら自治体に要望を。その想定に応じた防災訓練が必要。避難場所の確保が第一に必要となる。

◇関川で約5キロ遡上

国土交通省高田河川国道事務所は能登半島地震により、関川と支流の保倉川をさかのぼる津波を確認した。現時点の痕跡調査で、関川で河口から約5キロの春日山橋付近、保倉川で合流点付近から約1・6キロの佐内橋付近まで津波が到達したことが分かった。今後も詳細の調査を続ける。

同事務所が設置した2カ所のカメラから津波が確認できる。

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