EASLの琉球ゴールデンキングス、1/10(水)のニュー台北キングス戦は絶対に負けられない「キングス対決」

絶対に負けられない「キングス対決」

琉球ゴールデンキングスが、東アジアスーパーリーグ(EASL)における一大局面を迎えている。現在2勝2敗の成績でグループBの2位の琉球だが、残る2試合はいずれも現在3勝0敗でグループB首位に立つニュー台北キングス(チャイニーズ・タイペイ)が相手。決勝トーナメントに勝ち上がるにはグループ2位以上が条件となるが、非常にきわどい状況であり、琉球はニュー台北との“キングス決戦”をスウィープ(連勝)しなければ、4強入りに黄信号がともる状況なのだ。

☆EASLグループB戦況(1月9日時点)[試合予定]
1位 ニュー台北キングス(3勝)[1/10琉球、1/24@琉球、1/31@ソウル]
2位 琉球ゴールデンキングス(2勝2敗)[1/10@ニュー台北、1/24ニュー台北]
3位 ソウルSKナイツ(2勝2敗)[1/31ニュー台北、2/7メラルコ]
4位 メラルコ・ボルツ(1勝4敗)[2/7ソウル]


グループBでは、現時点でグループラウンド敗退が決まったチームはなく、いずれも4強入りの可能性がある。琉球がニュー台北と戦う残り2試合は、1月10日(水)がアウェイ、24日(水)がホーム。この2試合について3つの場合分けをして、琉球の決勝トーナメント進出の見通しを整理してみよう。

■琉球が“キングス対決”をスウィープする場合ニュー台北に対して琉球が連勝する場合、琉球は4勝2敗でシーズンを終えることになり、以降の試合の結果によらず決勝トーナメント進出を確定できる。ただし1位か2位かは決まらない。

ニュー台北は琉球との2試合を終えた時点で3勝2敗。もし31日(水)にソウルとアウェイで戦うレギュラーシーズン最終戦に勝利すると4勝2敗となるが、そうなれば琉球がニュー台北に対して直接対決の勝敗によるタイブレーカーを持っているため、琉球の首位通過となる。またソウルは3敗以上となるため、ニュー台北の決勝トーナメント進出も決まる。

31日にソウルがニュー台北に勝利する場合には、ニュー台北は3勝3敗でシーズンを終える。ソウルはその時点で3勝2敗だが、2月7日(水)のメラルコ・ボルツ(フィリピン)との一戦に勝てば4勝2敗となり決勝トーナメント進出決定。かつ、ソウルは琉球との直接対決で得失点差のタイブレーカーを持っている(ソウルが+12[初戦が1点差の琉球勝利、2試合目が13点差のソウル勝利)ため首位通過となる。もしソウルがニュー台北に勝った後メラルコに敗れて3勝3敗となる場合には、琉球は首位通過。2位通過は同勝敗で並ぶニュー台北とソウルのタイブレーカー保持チームとなる。

■両キングスが星を分ける場合琉球が3勝3敗でレギュラーシーズンを終えることになるこの状況下では、見通しは非常に厳しい。琉球が1敗した時点でニュー台北は4勝目を挙げて2位以上を確定。琉球としては、あとはソウルがニュー台北戦、メラルコ戦でどんな結果を残すかに左右される状況となる。琉球が2位以上になる条件としては、ソウルがこれらの2試合を連敗して2勝4敗とならなければならない。なぜなら、ソウルが1勝を挙げて通算3勝3敗で琉球と並ぶと、上記のタイブレーカーで琉球は3位となってしまうからだ。

■琉球がニュー台北にスウィープされる場合琉球がもしもニュー台北に連敗を喫すると通算成績は2勝4敗となり、この場合にはさらに厳しい見通しとなる。この状況下で決勝トーナメント進出を果たす条件としては、ソウルが残る2試合に連敗し、結果として琉球、ソウル、メラルコがいずれも2勝4敗で並ぶ三つ巴となることと、その中でのタイブレーカーを琉球が制することが必要となる。

NBAチャンピオン、ジェレミー・リン率いるニュー台北キングス

さて、最後にニュー台北とはどのようなチームなのか少しだけ触れてみたい。目玉は何といってもジェレミー・リンの存在だろう。リンは元NBAスターで、ニューヨーク・ニックスに在籍していた2011-12シーズンに爆発的な得点力で突如として頭角を現し、“リンサニティー”という言葉が世界中に知れ渡ったほどのインパクトを残したガードだ。2019年には、トロント・ラプターズの一員としてNBAチャンピオンにもなっている。

このリンを中心として、ニュー台北は今シーズンのP.LEAGUE+(チャイニーズ・タイペイのプロリーグ)で3Pショットのアテンプト数(平均38.1本)がリーグトップであり、1試合平均100.9得点(これもリーグトップ)をたたき出すオフェンシブなチームだ。現時点での成績は8勝5敗で6チーム中の2位。ただし現在4連敗中とのことだ。リン自身は13歳のうち12試合に出場してリーグ3位の平均21.8得点、3P成功率47.1%、5.8リバウンド、5.5アシストを記録している。

EASLでもチームのハイスコアリングな傾向は同じで、3試合の平均得点は92.0に上る。リンも間違いなく中心的存在で平均20.0得点、3P成功率42.9%、6.0リバウンド、6.7アシストのアベレージ。直近1月3日のメラルコ戦は23得点(フィールドゴール16本中7本成功、うち3Pショットが8本中3本成功)に10リバウンド、4アシストとダブルダブルを記録してチームを89-77の勝利に導いた。

NBAで活躍していた2011-12シーズン当時のジェレミー・リン(写真/石塚康隆[月刊バスケットボール])

このオフェンシブなチームに対して、瀬戸際の琉球がどのような戦いを見せるか。今シーズンの琉球は序盤戦から万全の状態になかったこともあり、B1西地区首位の20勝8敗という成績を残しているものの、プレーぶりに波がある。主要なスタッツ項目を見ても、平均40.2本のリバウンドがリーグ5位に入っているほかはトップ5に一つも入っていない。

EASLでは、アウェイゲームを一つも勝てていないというのも気がかりなところ。その意味からも、10日に行われるニュー台北とのアウェイゲームは、日本のチャンピオンとしての真価が問われる舞台となりそうだ。

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