平塚・高久製パンが創業100年 「弦斎カレーパン」が看板商品 地域に愛され

平塚での「創業の地」に立つ高久製パンの高久直輝社長(左)と栄二会長=JR平塚駅近く

 神奈川県平塚市内のほか、JR大船、藤沢両駅などに店舗を持ち、平塚ゆかりの「弦斎(げんさい)カレーパン」で知られる高久製パン(同市老松町)が今年、創業100年を迎えた。横浜での洋菓子製造から始まり、現在は湘南や県央地域の100校以上の学校給食も手がけ、子どもたちの成長を支えている。4代目の高久直輝社長(46)は「これからも地域で愛されるパン店を目指したい」と未来を見据える。

 同社は関東大震災直後の1924(大正13)年、東京・銀座の洋菓子店から独立する形で初代の故・栄造さんが横浜・鶴見で創業した。栄造さんが東海道線沿線に店を出したいとの思いから、35年に現在の本拠地となる平塚に出店したという。

 給食事業を始めたのは、50年ごろ。当時は、同業者4、5社と手分けして給食のパン作りを担った。ただ、給食事業は「それほど利益が出せない」(高久社長)ことやコスト削減のため機械化が求められたこともあり、各社が次々と撤退。その結果、同社は現在、湘南地域を中心に9市町の給食のパンを作っている。少子化や原材料費の高騰など、給食事業を取り巻く環境は厳しいが、高久社長は「パンを楽しみにしてくれる子どもからの感謝の言葉がやりがいになる」と話す。

 同社の看板商品・弦斎カレーパンが開発されたのは2000年代に入ってから。これまで、湘南ひらつか七夕まつりに訪れる観光客をターゲットにした「ミルクまんじゅう」や「七夕まんじゅう」といった地元の名物はあった。弦斎カレーパンはご当地パンとしてそれらをしのぐ人気となり、同社にとって最大のヒット商品になった。

© 株式会社神奈川新聞社