上越地域 飲食業界に危機感 能登半島地震、余震続き キャンセル相次ぐ

 上越地域の飲食店は、1日の能登半島地震と続く余震で予約のキャンセルが相次ぎ、苦境に立たされている。経営者は「今後も大きな余震の恐れが消えない中、これ以上のキャンセルが続くと経営が厳しくなってくる」と危機感を募らせている。

「1日の地震で、中身が入った酒瓶が100本以上割れた。2日以降、納入先(の飲食店)はキャンセルばかりで、納品もできていない。2020年に新型コロナウイルスの感染が国内で広がり始めた頃に近い」。上越市内の酒販店主は悲鳴を上げる。取引先の居酒屋は2日以降、余震の恐れなどで客からのキャンセルが相次ぎ、中には全ての予約がなくなった所もあるという。

「地震のため、と言われると、店側はなんとしてみようもない」。3日以降予約が入っていた同市内の料理店主もため息をつく。予約制のため仕入れた食材費などは全て店持ち。大都市の料理店のようにキャンセル料金を本格的に徴収しようとも考えたが、地域に複数ある同業他社とは足並みがそろわず、現在は足踏み状態だ。「仕入れ代が何もかも上がっている中で、全てを店の負担にするのは限界がきている」と話した。

県内で複数の店舗を展開する企業の経営者は「宴会などのキャンセル状況は危機的とまではいかないが、今後も大規模な余震が頻発するかもしれない、という不安は、飲食への足を遠のかせるかもしれない。先行きは不安だ」と話す。

酒販店主は「首都圏から北陸方面への出張が取りやめになっているという話も聞く。コロナの時と変わらない状況になっていくのではないか。行政には『あのとき』のような支援を期待する」と話した。

糸魚川市でも一部の飲食店で余震を警戒したキャンセルが出ているほか、9日の震度4の地震で臨時休業を余儀なくされた店もあった。

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