大ヒットの劇場アニメ「かがみの孤城」が「金曜ロードショー」で地上波初放送

日本テレビ系で2日9日放送の「金曜ロードショー」(金曜午後9:00)では、累計発行部数200万部突破の「本屋大賞」受賞作を映像化した劇場アニメ「かがみの孤城」を地上波初放送する。

本を最もよく知る立場である全国の書店員が選ぶ「本屋大賞」。2018年にその「本屋大賞」を史上最多得票数で受賞した、辻村深月氏によるベストセラー小説「かがみの孤城」(ポプラ社)。子どもから大人まで幅広い世代からの支持を集め、累計発行部数は200万部を突破している。そんな多くの人から愛される作品を、「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」(01年)、「河童のクゥと夏休み」(07年)、「カラフル」(10年)などを手掛け、繊細な心情描写で知られる原恵一監督が劇場アニメ化した。22年12月に公開されると瞬く間に話題になり、「その真相が明らかになるラスト15分に心震えた」「日常生活や仕事でうまくいかないことがあっても、本作を見たら前向きな活力や元気がでる作品だった」など感動のコメントが寄せられ、大ヒット。「日本アカデミー賞」優秀アニメーション作品賞にも選ばれた。

学校での居場所をなくし、不登校となり部屋に閉じこもっていた中学生・こころ(声・當真あみ)の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始める。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた。さらに、「オオカミさま」と呼ばれるオオカミのお面をかぶった少女が現れ、「城に隠された鍵を見つければ、どんな願いでもかなえてやろう」「ただし、願いをかなえられるのはこの中の1人だけ」と告げられる。期限は約1年間。戸惑いながらも心通わせながら探す7人。果たして、鏡の中の城で鍵を見つけることはできるのか?

作品の魅力は、多くの謎と、引き込まれるストーリーにある。原作の辻村氏がもともと本格ミステリー作家ということもあって、謎解き要素が多く散りばめられている。謎の一つ目は、謎の少女・オオカミさまの存在。鏡の中の城にこころを含め7人を招き入れたのは、オオカミのお面をかぶった謎の少女だ。「鍵を見つければ願いがかなう」という鏡の中の城のルールのほかにも、ヒントも教えてくれる。あどけない一面やかわいらしい一面が出てくることも。その目的が何なのか? 正体は誰なのか? そもそも正体があるのか? すべてがミステリアスで、そのオオカミさまの声を演じるのは、芦田愛菜だ。お面で表情が見えない分、セリフにどういった感情を乗せるべき悩みながら演じたのだとか。

二つ目の謎は、鏡の中の城とはなんなのか? 宮殿のような内装、大きな暖炉の部屋、大理石の床などが特徴的な城で、どこかファンタジックな異世界に集められた7人は、ここで願いのかなう鍵を宝探しすることになるが、そもそもなぜこの7人だったのか? これも映画全体を通しての大きな謎として解き明かされていく。

この城をデザインしたのは「攻殻機動隊SAC」シリーズのキャラクターデザインなども務めたアニメデザイナーのイリヤ・クブシノブ氏。原監督は城の内装をデザインしていくにあたり、ヨーロッパの城を知るイリヤ氏の視点が欲しかったそうだ。

そして、三つ目の謎が、現実世界とのリンク。城の中で、同じ時間を過ごしながら、話をしていくにつれて心が打ち解ける7人。そしてある時、1人を除く全員が、同じ中学校の生徒であることが判明する。同じ学校であれば、現実世界でも会えるのではないかと思われるが、現実世界の中学校に登校してみても7人は会うことができなかった。節々がどこかかみ合っていない会話にヒントがあるのか。彼らは現実世界で出会うことができるのか?

青春群像劇×謎解きミステリーが展開する「かがみの孤城」だが、それに加えて、不登校となっている子ども、友人関係にままならなさを感じている人や、居場所がないと悩む人たちに、寄り添う感動作となっている。

ボイスキャストは、こころ役の當真、オオカミさま役の芦田のほか、北村匠海、吉柳咲良、板垣李光人、横溝菜帆、高山みなみ、梶裕貴、矢島晶子、美山加恋、池端杏慈、吉村文香、藤森慎吾、滝沢カレン、麻生久美子、宮﨑あおいが務めている。

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