慶応高の上田前監督、四国IL香川の球団代表に「地域の子どもを球場へ」

独立リーグでタッグを組むことになった香川オリーブガイナーズの福山球団社長(左から2人目)と上田さん(同3人目)=福山さん提供

 昨夏に全国高校野球選手権記念大会を制した慶応の前監督で、昨年3月に定年退職した上田誠さん(66)が四国アイランドリーグplusの香川オリーブガイナーズ球団代表に就任した。培ってきた教育者の視点や人脈を存分に発揮し、「チームが強くなり、地域の子どもたちが球場に足を運んでくれるようにしたい」と思い描く。

 高校時代の教え子で、昨年6月に球団社長に就いた起業家、福山敦士さん(34)の呼びかけに応じた。昨夏から秋にかけては月の半分ほどを香川で過ごし、練習にも参加。時には球拾いをしながら選手たちとコミュニケーションを重ねた。

 独立リーグでは、大学野球で故障し社会人野球やNPBの道を断念したり、経済的な理由で大学に通えなかったりする選手がいる。「びっくりしたのは純粋な子がすごく多くて、助けてあげたいと思った」と上田さん。情熱に応えるべく、野球環境の整備に取り組む。

 特に注力するのは人脈を生かした選手のリクルートだ。主に長年指導者として関わった神奈川で原石を探す予定で、「試合に出て、高いレベルの実戦を積みたい選手もいると思う」。NPBへの輩出だけでなく、セカンドキャリアで活躍できる育成力の両面をアピールするつもりだ。

 同リーグは独立リーグの先駆けとして2005年に開幕し注目されたが、近年客足は低迷。香川も観客が300人未満の試合も多い。競技人口の減少に警鐘を鳴らしてきた上田さんは地元球団の成長となぞらえて野望を語る。「ベイスターズも地域のシンボルのようになった。あれを高松でやりたい」。小中学生が球場に足を運び、選手たちに憧れるような光景を思い浮かべる。

© 株式会社神奈川新聞社