「失敗したら悔しがれ」 青木功がハワイを終えた蝉川ら若手にエール

ハワイで2024年の初戦を終えた若手らにエールを送った(撮影/谷口愛純)

◇米国男子◇ソニーオープンinハワイ 最終日(14日)◇ワイアラエCC(ハワイ州)◇7044yd(パー70)

米ツアーの今季2戦目は3つどもえのプレーオフとなり、1ホール目で最も長い12mを残しながら、これを沈めて唯一のバーディを奪ったグレイソン・マレーが優勝をさらった。

「勝つ時っていうのは、アドレナリンが出て“ツイている”部分もある」。BS無料放送局「BSJapanext」の試合中継で解説を務めた後、取材に応じた青木功はこう話した。41年前の「ハワイアンオープン」で、自身が日本人初のPGAツアー優勝を遂げた時もそうだった。

18番(パー5)で、ラフからの3打目をPWで放り込んだイーグルで逆転優勝。「(あの1打は)30万回に1回と当時言われた。あり得ない感じ」。“入るわけがない”が入ることも、“外すわけがない”を外すこともある。今年の大会最終日、3打差から出た蝉川泰果は2番で1m弱を外して、ダブルボギーをたたいた。

パーパットの後にマークせず、すっと構えて打ったボギーパット。「自分が何百回も経験しているから、外すのではと思った。本人も『緊張していた』と言っていたけど、自分のリズムじゃなかったんだと思う」。蝉川は「72」とスコアを落とし、通算9アンダー30位でフィニッシュした。勝負の流れをつかむには、経験が必要だ。

松山英樹を含み、今年は8人の日本勢が出場した。蝉川のほかにも久常涼、桂川有人ら若手の有望株が集ったが、「海外で、外国人選手とやることに引け目を感じているように見える」と青木は語る。

フィールドに物おじせず、「自分も同じ舞台でやっている」という思い切りが必要だという。悔しさを表現することも、その手段のひとつ。「失敗したら悔しがって、自分と闘争しなきゃだめ。悔しい思いをすればするほど、ゴルフも大きくなるはず」とエールを送った。

一方、経験を積む中で“あそび”も必要だと青木は話す。「決められたことを頑なに続けるだけでなく、(周囲に)聞く耳を持つことで応用力が出てくる」。そのポテンシャルが高いと感じるのが、蝉川と並ぶ30位で終えた久常。昨年欧州ツアー(DPワールドツアー)で1勝を挙げ、ポイントレース上位の資格で今年はPGAツアーが主戦場になる。「松山選手が出てきたときと同じように、鈍感力が強い。すごく楽しみ」と期待を寄せた。

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