「強いヴェルディを取り戻せれば…」、京都から紆余曲折の末に東京V加入の木村勇大、山田楓喜が意気込み

京都から東京V加入の木村勇大(左)、山田楓喜(右)[写真:©超ワールドサッカー]

京都サンガF.C.から東京ヴェルディに期限付き移籍で加入したFW木村勇大、MF山田楓喜が新天地での意気込みを語った。

昨シーズン、城福浩監督の下で明治安田生命J2リーグを3位でフィニッシュし、J1昇格プレーオフを制して16年ぶりのJ1復帰を果たした東京V。

今冬の移籍市場では大学や高校、ユースからの新卒選手、J2のライバルクラブからの補強に加え、J1のライバルクラブから若手選手の期限付き移籍と合計14名の新戦力を迎え入れた。

そのなかで京都からは共にパリ・オリンピック世代で、U-23日本代表招集歴もある木村、山田と2人のアタッカーが加わることになった。

かつて東京ヴェルディジュニアに在籍し、関西学院大学在籍時にも練習参加していた木村に加え、山田も昨夏の段階でクラブ強化部が獲得に動いていたなか、紆余曲折を経ての加入が実現した。

加入決定時のリリースで「ただいまの感情が強い」と語っていた木村は、約10年ぶりに実現した“古巣”への帰還への思いを語る。

「ジュニアにいたこともそうですが、大学のときも一番早い段階からずっと声をかけていただきましたし、そういう意味ですごく思い入れがあります。あのときは京都がJ1に上がったタイミングで、自分としてJ1でやりたいと考えての決断でした。ただ、ずっと恩は感じていましたし、今回また声をかけてもらったところでヴェルディしかないと思いました」

「昔からヴェルディはうまいイメージが強くて綺麗に崩して勝つというのが、自分が小さいときに見ていた時代には信念のように感じていました。そういう意味ですごく大好きなサッカーでしたし、城福監督が就任してからはすごく良い意味でチェンジしたと思いますし、うまいながらもしっかりと戦ってという感じです。自分が今まで見ていたときはうまいけど戦えずに最後勝てないとか、最後に失点してしまうという感じでずっとJ2にいたイメージだったので、すごく良い方向に変わっていると思っています」

「ずっと近い距離にトップの選手がいて、それを毎日見ている感覚だったので、それが逆の立場になるという実感はないですが、すごく細かいところまで小さいながらも目に付く部分はありました。プレーはもちろんそれ以外の行動のところでも手本というか、尊敬できるような選手になれるように頑張りたいです。昨日(13日)は初めてクラブハウスに行きましたが、何も変わっていないなという懐かしい気持ちでした」

現在のトップチームには関西学院大学の同期であるFW山田剛綺に加え、ジュニア時代のチームメイトであるMF森田晃樹、MF綱島悠斗の2選手が在籍。木村は16年ぶりの昇格に導いた主将を「変わらずに不愛想な感じ(笑)」とイジリつつ、元チームメイトとの共闘を心待ちにしている。

「関東に来たときにはちょくちょくと会っていました。晃樹とは自分が大学生で練習参加していたときに車に乗せてもらったりしました。悠斗は大学時代に試合をすることはなかったですが、会場で会う機会はあったのでしゃべったりしていました」

「(山田剛綺とは)大学でずっと2人で出たりすることが多かったですし、ポジション的に争いながらも出ることが多かったので、すごく信頼している選手です。個人的に連絡も取り合っている選手なので、また一緒に試合に出られれば、個人的に嬉しいです」

「(森田は)昔からめちゃくちゃうまかったですし、そういう意味で信頼していました。いろいろあったとは思いますが、いまこうやってチームを引っ張っていることはすごいことだと思いますし、そういう選手を助けられればと思います」

一方、京都のアカデミー育ちで初の移籍を決断した山田は、今年にパリ五輪を控え、将来的な海外移籍を視野に入れたなかで自身の力を最も活かせる場所としてヴェルディ行きを決断した。

「これから生きていくなかで同じチームでプレーし続けるという考えは自分のなかではなかったことなので、もっともっとステップアップして今年はオリンピックもあるので、それを経て海外に行きたいという思いもあります。自分が一番活かせて活かせられる、そういうチームを選びました。京都から海外へという考えももちろんありましたが、自分は向こうに行くだけの結果も出せていないですし、もっと日本で結果を出しながらやっていかないと考えていたなか、今年J1に上がったチームで一番勢いがあるチームだと思っていますし、そこで自分が一緒にJ1で旋風というか、一番勢いを見せられるチームだと思っているので、そこに魅力を感じて来た感じもあります」

「(オリンピックイヤーでの移籍に)迷いはなかったです。去年の夏から話をもらっていたなかでそれを断ってしまいましたが、またこうやって声をかけてもらったのでこっちで挑戦してみようと思ったのと、オリンピックはあまり意識せずにという感じでした」

「自分自身初めての移籍なので楽しみな部分が多いです。(ヴェルディを勝たせますとのコメントは)自信がないとこういう発言はできないと思うので、自分に自信を持っているからこそこうやって移籍してきましたし、勝たせる準備はしてきているので、自分を出していきたい」

あくまで一人のプロフェッショナルとしての決断と語った一方、昨夏にオファーを受けたこともあり、昨シーズン終盤のヴェルディの戦いは気になっていたという。とりわけ、J1昇格が懸かったプレーオフはファン目線で観戦していた。

「試合はちょくちょく見ていましたし、それこそプレーオフの試合は一人のファンとしてというか、テレビの前で応援しながら見ていました。ヴェルディを応援していました。(笑)」

かつてJ1の舞台で主役を担った当時のことは分からないとしながらも、ヴェルディの伝統の重みを理解する京都からのローンプレーヤー2人は、久々のJ1の舞台に臨む新生ヴェルディの一員として新たな歴史を築くという決意を示す。

アカデミー在籍歴のある木村は「自分がいたころはずっとJ2で戦っていたので、J1を戦っていたころのヴェルディのことはよく分からないです。ただ、父がサッカー好きで昔のヴェルディは強かったということは小学生でジュニアに加入するころに聞かされていました。また、強いヴェルディを取り戻せればと思います」と、名門復活への思いを語った。

一方、山田は「京都から来た選手2人でこのチームを勝たせようと話していました」とエピソードを明かした木村同様に、「ヴェルディがどれだけすごい熱量でどういうものを築き上げてきたかは少しは分かっているつもりなので、そこに自分がひとつ上乗せして築き上げれればと思います」と意気込みを語った。

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