秋津有楽園、閉園の危機

被害甚大「再開の気力ない」

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釣り堀のあちこちで、コンクリートに亀裂が走る秋津有楽園=1日、熊本市東区沼山津

 熊本市東区沼山津の総合レジャー宿泊施設「秋津有楽園」が、熊本地震で施設に甚大な被害を受け、閉園の危機を迎えている。県内のレジャー施設の先駆けとして半世紀以上も来園客を楽しませてきたが、船越昭八園長(83)は「今は営業を再開させる気力がない」と肩を落とす。

 最大震度7を2度観測した益城町に隣接する熊本市東部にある。大型連休間近に発生した地震で、計4トン分のコイがいた釣り堀は、何カ所もコンクリートに亀裂が走り、漏水して大半のコイが死んだ。宿泊施設は傾き、壁が崩落。ゲーム場は今も遊具が散乱したままだ。

 1963年開業。約6600平方メートルの敷地に釣り堀やプール、ゲーム場、宿泊施設などを備え、ピーク時には1日5百人以上が訪れる人気施設となった。「レジャーという言葉も定着していなかった時代。長蛇の列ができた」と船越園長。レジャーの多様化で、来園者はピーク時に比べ半減したものの、今も釣り堀が根強い人気だった。

 「こんなことになるなんて」。地震で変わり果てた施設の惨状に心ここにあらずの状態が続いた。「営業再開には全ての施設を建て直すしかなく、億単位の資金が必要だろう。30、40代なら借金してでも続けようという気持ちになれたが」

 今年2月には最愛の妻を亡くした。水道などの復旧が地震後に最も遅かった地域の一つでもあり、脚が不自由な園長は、炊き出しをもらいに行くことも困難だった。だが釣り堀や宿の常連客が見舞いに訪れ、水やパンなどの物資を次々と届けてくれたという。

 「こちらがお金をいただいて遊んでもらっていた立場なのに、常連さんの気持ちが本当にうれしかった」。園とともに歩んできた半世紀あまり。来園客や従業員たちの笑顔が浮かび、「閉園」の決断に迷っている。(高見伸)