帆足本家に受け継がれてきた着物や調度品100点 大分市戸次本町、きょうから特別公開【大分県】

「一つ一つの絵柄や細工の細やかさなどを見て感じてほしい」と話す帆足めぐみさん=大分市中戸次
客人をもてなした器類や重箱が並ぶテーブル
特別ゲストのロバート・キャンベルさん

 【大分】大分市戸次本町地区に400年以上続く旧家、帆足本家に受け継がれてきた着物や調度品を特別公開する「富春館美術館」が19~21日、地区内の帆足本家富春館で開かれる。20日は同家伝来で市美術館が所蔵する南画家田能村竹田らの掛け軸も展示。日本文学研究者のロバート・キャンベルさんを特別ゲストに迎えてのトークイベントがある。いずれも無料。

 市の主催。同地区を舞台に地域の歴史やさまざまな文化に触れる「かたらし ざいまち」のラストを飾る体験プラン。帆足本家は江戸時代、旧臼杵藩の庄屋で、農業と造り酒屋を営み、栄えた。豊後南画の祖と称される竹田、儒学者の頼山陽ら文人墨客と親交を深め、多くの書画が伝わる。竹田の弟子の帆足杏雨(きょうう)は9代当主の四男。

 特別公開では築約150年の母屋の室内に、明治から昭和初期にかけて使われていた約100点を展示。客人をもてなした煎茶道具や食器類、重厚な蒔絵(まきえ)や螺鈿(らでん)文様のすずり箱、杏雨の掛け軸、婚礼用の打ち掛けなどを飾る。訪問客が書き残した芳名録には川端康成、湯川秀樹も名を連ねる。時間は19、21日は午前10時~午後3時、20日は正午~午後5時。

 美術品の大がかりな公開は約20年ぶり。「昔ながらのしつらい、屋敷や庭園の空間も含めて、当時の息遣いや職人の仕事の素晴らしさ、一つ一つの絵柄や細工の細やかさを感じてもらえたら」と富春館総支配人の帆足めぐみさん。

 市美術館からは、譲渡した掛け軸のうち竹田1点、杏雨2点、高橋草坪(そうへい)1点が1日限定で里帰りする。

 キャンベルさんと語らう「文化を育てた戸次に迫る~芸術ある町とは」は20日午後2時から、隣接する帆足本家酒造蔵で。近世・近代日本文学が専門で、メディアでも活躍するキャンベルさんが市美術館の菅章館長と対談。名画鑑賞の楽しみ方やアートとまちづくりについて語り合う。

 トークイベントは定員120人で予約が必要。「かたらし ざいまち」のサイトから申し込む。問い合わせは、事業の委託先の大分朝日放送(097.538.6150)。

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