日本初・和歌山の公立高に宇宙コース 川崎出身の担当教員「一緒に夢実現」、全国から1期生募集

全国初の高校宇宙コースの教員として和歌山県に採用され串本古座高校に赴任した川崎出身の藤島さん=和歌山県串本町の同校

 本州最南端の和歌山県串本町にある県立串本古座高校に4月、公立高校として日本で初めての「宇宙探究コース」が開設される。その担当教員に川崎市出身で宇宙航空研究開発機構(JAXA)などで科学実験や人材育成活動に携わってきた藤島徹さん(56)が同県から採用された。1期生を全国から募集する方針で藤島さんは「志を持つ生徒たちと一緒に夢を描き、実現していきたい」と意気込んでいる。

 和歌山県は専用射場から人工衛星搭載ロケットの打ち上げを行う日本初の民間企業「スペースワン」(東京都港区)が串本町に民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」を設けることなどを受け、同校普通科を2024年度から未来創造学科に改組。宇宙探究など3コースを設ける。第1号ロケットの打ち上げは年内にも行われるとみられるが同社の住民などへの説明によると、年間20機程度の発射を目指すという。

 藤島さんは川崎市幸区出身。市立御幸中学校、県立新城高校、日本大学理工学部航空宇宙工学科で学んだ。「もともと乗り物好き。大学受験浪人中に起きたスペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故に衝撃を受け『安全な乗り物をつくりたい』と進路を航空宇宙分野に決めた」という。

 卒業後はJAXA業務と宇宙教育を通じた青少年育成機関「日本宇宙少年団」の運営を請け負う一般財団法人「日本宇宙フォーラム」(東京都千代田区)に勤務。国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」での実験や研究のマネジメント業務などを担当した。

 JAXAへは通算約10年出向し種子島宇宙センター(鹿児島県)でのロケット打ち上げの映像データ管理、大学や企業との共同研究事業の運営に携わった。宇宙少年団の横浜分団のリーダーも担い約300人の子どもたちを指導している。   

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