薄い「宏池会」解散効果…首相サプライズも空振り 脱派閥まとめ役の菅氏「『派閥ないのが当たり前』が国民の常識」

岸田文雄首相(資料写真)

 自身の派閥「宏池会」の解散に踏み切った岸田文雄首相(自民党総裁)だが、内閣支持率の浮揚にはつながらず「起死回生」(自民の閣僚経験者)とはならなかった。サプライズ効果を狙ったが空振りに終わり、盟友の麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長にすら事前に連絡しなかったことで2人との間に亀裂が生じ、政権基盤は大きく揺らいでいる。26日開会の通常国会の行方に暗雲が垂れ込む。

 首相の自派解散表明の後に行われ22日に結果が報じられた世論調査では、岸田内閣の支持率は読売新聞が24%、朝日新聞が23%でともに政権として最低の“タイ記録”だった。首相周辺が「捨て身の対応も効果なしか」とショックを隠せない一方、官邸スタッフの間では「宣言がなければ救いようのない数値に陥っていたところだった」とあきらめ含みの安堵(あんど)感が漂う。

 「宏池会解散」が内閣支持率上昇に結びつかない理由を巡り、「脱派閥」まとめ役の菅義偉前首相(衆院神奈川2区)は周囲に「『派閥がないのが当たり前』が国民の常識ということ」との認識を示しているという。

 内閣と一蓮托生(いちれんたくしょう)の自民は深刻だ。同党の政党支持率は朝日が24%で前月(23%)とほぼ横ばい。読売は25%で前月から3ポイント落とし、2012年の政権復帰以来最低となった。自民幹部は「派閥を全廃しても支持率が持ち直す保証はないが、残せば国民の反発が残るのは必至。総理が全廃を完遂しないのであれば党も道連れで転落の一途だ」と断じる。

© 株式会社神奈川新聞社