7年間で実施 通年観光計画 春日山に約37億円投入 直江津10億円、高田2億円 上越市が議会説明

春日山地域の整備イメージ(上越市通年観光計画案から)

上越市は23日、来年度から2030年度までの7年間で行う「通年観光計画」の案をまとめ、市議会の特別委員会に示した。昨年11月の中間まとめ通り、計画期間に総額50億円を投じ高田、直江津、春日山の3地区で集中的に取り組みを進める。30年度までに3地区の月別観光客数を19年度(高田172万人、直江津116万人、春日山51万人、いずれも年間)比で1・3倍に引き上げる方針。

上杉謙信、景勝が居城とした春日山城周辺の観光計画には最多の36億8000万円を投じる。主なものは、城のすそ野の平たん部にあった土塁と堀の防備(惣構、そうがまえ)を復元し城の特徴を訪問者に示すほか、市埋蔵文化財センターの隣接地に飲食や物産販売、学習施設を備えた1500平方メートル規模の観光拠点施設を設ける方針。100年前の姿を参考に、それ以降植林されたスギを伐採することにしている。

惣構の復元整備は5億円。観光拠点施設整備に21億5000万円、スギの伐採に4000万円。

直江津ではD51レールパークに投資し、五智公園にあるD51蒸気機関車を移設・動態保存する。船見公園では観光スポットとしての利活用社会実験などを行う。予算規模は7年間で10億円。高田は「浄興寺大門通り」の開発や雁木町屋を活用した宿泊施設を計画に盛り込んだ。高田城にあった桝形(ますがた)門の再現可能性調査費として1300万円を投じる。高田地区の予算規模は総額2億3000万円。

◇春日山の計画に議員の質疑集中

質疑は、市が巨額の予算を投じる方針の春日山地区に集中した。

丸山章氏(政新ク)は、春日山城跡への観光客増には土塁や空堀では足りないとして、当時の状況を復元した建築物を設けるべきだと提案。市教委は「春日山城は地上にあった建物を検証する資料が全くない。観光庁のレガシー形成事業で復元可能性を調査研究している。まずはその成果を待ちたい」とした。

宮越馨氏(無所属)は20億円を超える観光施設の整備費用について、リスクの大きさを指摘。計画に直接携わる市魅力創造課は「調査などを踏まえ、慎重に検討する」と答弁した。

滝沢一成氏(政新ク)は、春日山城跡内を「神聖なエリア」と位置付け、観光など一般車両の乗り入れを制限した中間まとめを引き合いに、考えに変更がないか質問。市魅力創造課は「交通規制への考えは変わっていないが、進入制限という言葉への住民の困惑を踏まえ、表現を変えた」とした。

また滝沢氏が訪日外国人観光客(インバウンド)の誘致姿勢を問うたのに対し、事業を所管する文化観光部の阿部俊和部長は妙高市を念頭に「近隣自治体との連携を図りながらインバウンド誘客を図りたい」と述べた。

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