マンション適正管理 茨城県、3月に計画策定へ 老朽化備え支援

マンション管理適正化推進計画案の主なポイント

茨城県は分譲マンションの安定的な維持管理を促す「管理適正化推進計画」を3月にも策定する。建物の老朽化や住民の高齢化に備え、修繕費積立や災害対応などマンションごとの計画を認定し、税制を優遇する。実態調査や講習会を通して管理組合に対する支援も強化し、将来にわたって適正管理につなげる方針。

分譲マンションは、都市部を中心に老朽化が進む一方、積立金不足などで設備修繕が滞り、課題となっている。特に高齢化や空き室の増加により、住民による管理組合の担い手不足も深刻化している。

こうした状況を背景に、県は将来的に安定したマンション運営を促すため、管理適正化推進計画を策定する。計画案では、2025年度までに全市町村で調査し、各マンションの管理実態を把握。マンション世帯が計千戸を超える水戸や日立、土浦、つくばなど計11市では管理組合向けに講習会を開く。

組合ごとの管理計画に対する県や市の認定制度も始める。年1回以上の住民集会や組合の役員体制、災害時対応、修繕積立金をはじめとする経理規定など、一定基準を満たした計画に行政からの「お墨付き」を与え、固定資産税減額や修繕工事費の利息優遇など税制上の支援も行う。

総務省の住宅・土地統計調査によると、22年末現在、全国で築40年以上の分譲マンションは125万7千戸。10年後には約2.1倍の260万8千戸、20年後には約3.5倍の445万戸と、急激な増加が見込まれている。

県内の分譲マンションは約3万5千戸で、このうち5割以上が00年以降に建設。1981年以前の旧耐震基準で建設されたのは1割未満と、全国に比べて比較的新しいマンションが多い状況にある。ただ、「常磐線沿線を中心に、建物の老朽化は避けて通れない」(県住宅課)。

県マンション管理士会(水戸市)は「住民で構成する組合による自主管理の場合、老朽化した設備の修繕が困難になるなど、管理不全に陥るケースは珍しくない」と指摘。県は計画を策定することで、将来の老朽化に備えた先手の対策を講じる構えだ。

計画案に対するパブリックコメント(意見公募)を1月末まで実施。3月中に策定、公表し、4月から運用を始める予定。計画期間は2030年度までの6年間。

県内では昨年11月、水戸市が計画を策定し、認定制度を始めた。市住宅政策課によると、現時点で管理組合から認定の申請は出てないという。今後、土浦市とつくばみらい市も独自に計画を作成する予定。

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