「ライカムで待っとく」沖縄で再演 軽快なミステリーに込められた沖縄と日本の関係 6月22.23日になはーとで

 沖縄県内を拠点とする若手劇作家・兼島拓也さんの作品で第30回読売演劇大賞優秀作品賞などを受賞した「ライカムで待っとく」(田中麻衣子演出)が6月22、23日に那覇市の那覇文化芸術劇場なはーとで再演される。5月~6月にかけて神奈川県、京都府、福岡県でも上演される。

 アメリカ占領下の沖縄で実際に起きた米兵殺傷事件を追う雑誌記者が、過去と現在が混然とした不可解な状況の中で「沖縄の物語」が育んできた「決まり」の中に飲み込まれていく…という内容。沖縄の過去と現在と未来が交錯する軽快なミステリータッチの物語の中に、兼島さんは「沖縄は日本のバックヤードではないのか」などの思いを織り込んだという。

 沖縄の日本復帰50年にあたる2022年にKAAT神奈川芸術劇場で初演され、第30回読売演劇大賞優秀作品賞受賞、第26回鶴屋南北戯曲賞ノミネート、第67回岸田國士戯曲賞最終候補作などの評価を受けた。

 公演は5月24~6月2日にKAAT神奈川芸術劇場、7~8日にロームシアター京都、15日に久留米シティプラザ久留米座、22、23日に那覇文化芸術劇場なはーとである。

【兼島拓也さんのコメント】
この作品を再演することができ、とても光栄です。初演から2年、ウクライナでの悲劇はいまだ収束せず、あらたにガザ地区でも見るに堪えない事態が勃発し、心が苦しくなるばかりです。私が住むここ沖縄は、相変わらず「決まり」が覆ることもなく、粛々と、そして堂々と、物事は進んでいきます。先日屋久島沖でオスプレイが墜落した後、同じ機体たちは1週間ほど何事もなく飛び続け、休憩に入りました。この文章が公開される頃には、優雅に、気持ちよく飛び回っているでしょう。本土復帰50年というお祭りも終わり、変わらず嫌な方へと変わり続ける世界の中に、この作品が何かしらの影響をもたらしてくれたらと願いますが、まあ、どうなんでしょう。

演劇「ライカムで待っとく」の初演の模様(引地信彦撮影、KAAT神奈川芸術劇場提供)
兼島拓也さん

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