「クスリのアオキ」が企業や事業の取得を積極化 好業績が後押し

埼玉県内の店舗

ドラッグストア大手のクスリのアオキホールディングス<3549>がM&Aを積極化させている。同社は2024年1月5日と9日に合わせて3件の企業や事業の取得を発表した。

2016年の上場後に適時開示したM&Aは2021年の3件が最多で、2024年は年明け後の10日足らずの間にこの数字に並んだことになる。

同社は進出エリアに集中的に出店するドミナント戦略を採っており、今回の3件はいずれもこの方針に沿ったもので、今後も同様のM&Aが見込める。

さらに業績が好調に推移しており、これもM&Aの後押しとなるため、2024年が2021年を上回る可能性は高いといえそうだ。

10日足らずで3件のM&A

クスリノアオキが2024年1月に発表したのは、ウッドペッカー(岐阜県関ケ原町)からホームセンター事業(1店舗を運営)を取得する案件と、スーパーよどばし(静岡県富士宮市)から静岡県富士宮市のスーパー3店舗を取得する案件。

さらに愛媛県を中心に食品スーパー15 店舗を展開しているママイ(愛媛県四国中央市)の株式の33.4%を取得し、今後子会社のクスリのアオキとママイを統合する案件の3件。

いずれもドミナント戦略に沿ったもので、利便性と専門性を強化する方針のもとに、ウッドペッカー(直近の売上高は1億1800万円)の店舗は、医薬品、化粧品、日用雑貨、食品を取り扱う店舗に改装する。

スーパーよどばし(同9400万円)の店舗、さらにママイ(同86億5400万円)の店舗でも、新鮮な食材や、日用品、薬剤を合わせて販売する形に改装する。

2ケタの増収営業増益に

クスリのアオキの2024年5月期は、2026年5月を最終年とする中期経営計画に沿って進めている生鮮食品の導入の効果が現れ、集客力が高まった結果、売上高や売上総利益(粗利益)が伸び、さらに電気代が当初予想よりも下振れしたことから、14.8%の増収、56.9%の営業増益となる。

ただ、好業績(経常利益が220億円以上)によって、2020年1月に発行した有償ストック・オプションにかかる費用をこの期に計上する必要が生じたため、最終的な営業利益は12.4%の増加に留まる見込み。

それでも2ケタの増収営業増益を達成できる見通しのため、新たなM&Aに関する財務面での問題はないといえる。

クスリのアオキは、北信越、東北、関東、東海、関西の23府県にドラッグストア912店舗(うち調剤薬局併設577店舗)、専門調剤薬局6店舗、スーパー1店舗の合計919店舗を展開(2024年1月9日時点)しており、中期経営計画では2026年5月期に売上高5000億円を目指している。

2024/5は予想

文:M&A Online

M&A Online

M&Aをもっと身近に。

これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。

© 株式会社ストライク