【24年度調剤報酬改定】「緊急避妊薬」の備蓄・相談体制が地域支援体制加算の施設基準に/薬局の貢献向上に期待感

【2024.01.30配信】厚生労働省は1月26日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、「個別改定項目(その1)」を提示した。点数なしの、いわゆる「短冊」だ。地域支援体制加算の施設基準には、緊急避妊薬の備蓄・相談体制が施設基準になった。女性の健康やSRHR(性と生殖に関する健康と権利)への薬局の貢献度の高まりに期待が寄せられている。

オンライン診療の適切な実施に関する指針に基づく緊急避妊薬の調剤に係る研修を修了している薬剤師数は全国で1万1372人(令和5年12月時点、累計)、対応可能薬局数は7317施設

「短冊」では、地域支援体制加算の施設基準として、「地域医療に関連する取組の実施」を規定し、その中で、緊急避妊薬に関する事項を以下の通り記載した。

■ 緊急避妊薬を備蓄するとともに、当該医薬品を必要とする者に対する相談について適切に応需・対応し、調剤を行う体制を整備していること。

これを受け、薬局関係者などからはSNS上などで、取り組み強化を後押しするものとの好意的な受け止めが広がっている。

SRHRに関して独自の研修などを実施する「SRHR pharmacy PROject」はXで、「緊急避妊薬の備蓄がある薬局が増えることは大変良いことですね。(略)みんなで一緒に勉強しましょう」とコメント。

また、これまでSRHRに取り組んできた薬剤師からは、「薬局へ国からより具体的な提案がきました。緊急避妊薬に対して薬剤師がどのように向き合うか、そして、女性ヘルスケアを考えた時に薬剤師が関わって行けるところがまだまだ沢山あるのでより具体に踏み込めるようにします」などといった書き込みがされた。

緊急避妊薬に関しては、市販化議論をめぐって環境整備のための調査研究事業としての市販薬販売が“試験販売開始”などの文言で大きく報じられている。しかし、現在は研究協力薬局以外では処方箋なしで緊急避妊薬を販売することは法令上認められていない。また、仮に市販化が将来的に解禁されたとしても、処方箋による調剤がなくなるわけではない。オンライン診療の適切な実施に関する指針に基づく緊急避妊薬の調剤では、地域の医師会及び産婦人科医会等と連携し都道府県薬剤師会が研修が実施しているところ。知識の豊富な薬剤師が増えることは、単に医薬品の供給ということだけでなく、複雑な事情をはらむこともある地域の生活者にとって、相談できる場所が増加する意味がある。薬局から医療機関や地域の関係機関へつなげる機会も増える。今回の備蓄・相談・調剤の体制要件は、こうした薬局の対応力拡充に寄与するといえるだろう。

なお、オンライン診療の適切な実施に関する指針に基づく緊急避妊薬の調剤に係る研修を修了している薬剤師数は、全国で1万1372人(令和5年12月時点、累計)、対応可能薬局数は7317施設となっている(令和5年12月時点)。今後の施策によって、より一層、研修を受講する薬剤師が増加しそうだ。

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