「医療繰り返し届ける必要がある」 能登半島地震1カ月、秦野赤十字病院医療救護班が報告

避難者から病状を聞き取る秦野赤十字病院の医療救護班=石川県珠洲市内(同病院提供)

 能登半島地震の被災地支援として石川県珠洲市で避難所支援や救護所の診療に携わった神奈川の秦野赤十字病院の医師ら一行が帰還。同病院で活動を報告した。担当者は現地の窮状を語り、「被災地に医療を繰り返し届ける必要がある」と支援の継続を訴えた。

 1月25日の報告会では、院長補佐兼災害対策委員長の松山大輔医師(45)ら13人が、被災地に派遣された16~19日の活動を映像を交えて説明した。

 現地では情報が錯綜(さくそう)し、閉所されたはずの避難所に、新型コロナウイルス患者がいる、という連絡も受けた。実際に行ってみると25人が生活しており、夫婦ら3人が感染。持参した解熱剤やせき止め薬を処方して、感謝されたという。

 避難所の登録人数が日々変わるなど情報管理が追い付かず、求められる必需品を聞き出しても届かないなど、行政と医療の連携の難しさを実感し、毎日意見交換を重ねた。

 通信環境はいまだに支障があり、山間部では一切不通。そんな状況下では診療所に向かうにも地図アプリが開けず、「紙媒体の地図も必要と実感した」。医療関係の文書もデジタル化が進み、集約された情報をいつでもオンラインで引き出せるようにしてきたが、通信がまひしては十分に機能しなかった。

 珠洲市内の避難所では、震災による2次的な疾病として、ストレスや感染症などの診察を行った。加えて保健師的な役割として、トイレの衛生管理に注力した。

 土足エリアに室内履きが混在し、トイレの雑菌を室内に持ち込んで粉じんとして巻き上げていたため、区分けするように指導。「いつでも避難できるように近くに外履きを置きたい気持ちも分かった。押しつけにならないように配慮しながら、困りごとを聞き出すように努めた」と振り返る。

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