石炭から「バイオ燃料」に置き換え"CO2排出量"の削減へ 東武鉄道「SL大樹」で国内初の実証実験開始

 日光・鬼怒川エリアで「SL大樹」を運行する東武鉄道とその子会社は、二酸化炭素の排出量を削減してSL運行の持続可能性を高めようと、国内では初めて燃料の一部を石炭から植物原料由来のバイオ燃料に置き換える実証実験を31日から開始しました。

 この実証実験は、鉄道産業の文化遺産の保存や活用と日光・鬼怒川エリアに新たな地域観光の活力を創り出そうと、東武鉄道と子会社の東武商事が取り組むものです。

 目指すのは燃料の石炭から出る二酸化炭素の削減です。走行時は通常の石炭を使用しますが火を保つため、ボイラーを燃やし続ける「保火」と呼ばれる作業を行う際燃料の40%をそば殻や木くずなどの植物原料由来の「バイオコークス」に置き換え燃焼効率などを検証します。

 SLにバイオ燃料が使用されるのは国内では初めてで、これにより二酸化炭素の排出量を年間で150トン削減できる見通しです。

 また、ディーゼル機関車の「DL大樹」でも燃料となる軽油の50%をバイオディーゼルの燃料混合軽油「B5」に置き換えます。

 B5は使用済みの食用油からできたバイオディーゼル燃料を配合した燃料で変更により、年間で2.5トンの二酸化炭素の削減を見込んでいます。検証期間は1月31日から約1年間で、期間中はSLのナンバープレートを環境に配慮していることを意味する緑色にして運行が行われます。

 また、東武鉄道はバイオコークスにそばどころである日光のそば殻を活用したり、バイオ燃料バスを運行する東武バスと連携し、地産地消型のエネルギーサイクルの構築も目指したい考えです。

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