ファーストモデルの最終完成形 カシオ「G-SHOCK MRG-B5000R-1JR」

落としても壊れない驚異の耐衝撃性能を備え、“タフウォッチ”という新ジャンルを確立したカシオの「G-SHOCK」。世界中で大人気のこの時計は昨年2023年に誕生40周年を迎えた。今回は多彩な製品ラインアップのなかでも、大人にぴったりの究極の一本を紹介する。

今から43年前の1981年。当時、設計部の若手社員で現在はカシオ計算機のシニアフェローを務め、“G-SHOCKの父”と呼ばれる伊部菊雄氏が書いた「落としても壊れない丈夫な時計」というたった一行の商品企画書から始まった。

「落としても壊れない」を実現するため、伊部氏が率いるチームはさまざまな構造の試作品を高さ10メートル、会社の3階の窓から地面に落とす実験を数え切れないほど繰り返すなど、5段階衝撃吸収構造といった独自の技術の開発を経て商品化を実現したというエピソードは、ファンにはよく知られている。

左)“G-SHOCKの父”伊部菊雄氏

右)5段階衝撃吸収構造の解説図。この構造に加えて、モジュール(ムーブメント)をケース内に浮かせる中空構造の採用で「アブソリュート(究極の)タフネス」が実現できた

そして誕生したG-SHOCK第1号モデルが、今やファンの間で“オリジン”と呼ばれるデジタル表示モデル「DW-5000C」だ。このモデルが日本よりもアメリカでブレイクし、“逆輸入”のかたちで1990年代にG-SHOCK旋風を巻き起こした。日本でも世界でも唯一無二のタフウォッチとして認知され、時計界では現在につながる不動の地位を確立した。

これが1983年に発売されたG-SHOCKの第1号モデル「DW-5000C」。発売価格は1万1400円。当時、消費税はなかった

この「DW-5000C」を原点として基本デザインはそのままに、素材や機能を進化させ、今も愛されているのがオリジンシリーズだ。今回紹介するのはG-SHOCKの同シリーズ最高峰ライン、フルメタルの「MR-G」で、史上最高の作り込みが施された究極モデル「MRG-B5000R-1JR」である。

デザイン上、オリジンのもっとも重要な要素のひとつである八角形ベゼルは、ディテールに徹底的にこだわって25個ものパーツで構成。しかも、ひとつひとつが緻密な手作業で仕上げられている。

素材は岩手県と釜石市が産学共同で開発した高付加価値コバルトクロム合金「COBARION(コバリオン)」製。純チタンの約4倍の硬度とプラチナと同等の輝き、優れた耐食性、耐熱性、低アレルギー性を誇り、航空宇宙分野や医療分野でも使われる日本独自の最先端の金属素材だ。

左)ベゼルのトップ部分が「COBALION」製

右)ベゼルのパーツ構成。この下に衝撃を吸収するバネと緩衝材が組み込まれている

さらにベゼルの下のケースもやはり最先端素材の「64チタン」製を採用。バンドは着用感がしなやかで快適なフッ素ラバー製で、ケースとの接合部にチタンパーツをインサートして一体感を高めた。また、2022年から発売されている大同特殊鋼が開発した「DAT55G」というチタン合金をブレスレットに使った3つの兄弟モデル「MRG-B5000BA-1JR」「MRG-B5000B-1JR」「MRG-B5000D-1JR」もラインアップされている。

“時計の顔”となる文字盤も、レンガパターンとゴールドカラーのサークルラインという、ファーストモデルのデザインアイコンをしっかりと継承している。機能も最高峰だ。文字盤のソーラーセルで駆動するモジュール(ムーブメント)は、世界6局の標準電波を自動的に受信し秒単位まで時刻を修正する「マルチバンド6」と、スマートフォンの公式アプリ「CASIO WATCHES」で時刻修正や細かな機能設定が行える「モバイルリンク」という、二つの最新機能を搭載している。

“どのモデルよりも“G-SHOCKらしさ”のあるオリジンシリーズ。なかでもこの「MR-G」は最終完成形といえるだろう。タフネスとヘリテージを兼ね備えたG-SHOCKの中でも別格の存在、“大人のG-SHOCK”の決定版だ。

CASIO / カシオ
G-SHOCK MR-G MRG-B5000R-1JR 39.6万円(税込)

SPEC

  • ケースサイズ:縦49.4 × 横43.2 × 厚さ12.9 mm
  • チタンケース、ソーラー駆動・電波修正機能付きクォーツ、フッ素ラバーストラップ、20気圧防水

  • カシオ計算機 フリーダイヤル:0120-088-925

Text : Yasuhito Shibuya

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