怖い『通電火災』…過去の震災では出火原因の6割が「電気関連」 いま注目の対策は『感震ブレーカー』

能登半島地震で被害を拡大させたものに火災があります。過去の震災では、出火原因のおよそ6割が「電気関連」で、今その対策が注目されています。

怖い『通電火災』

阿隅健一ディレクター:「火災は地震直後に発生するものだけではありません。地震から数日経ち、停電が復旧した後、家電などに再び電気が通ることで起こる『通電火災』にも警戒が必要です」

『通電火災』とは、自然災害のあと停電から電気が復旧することによって発生する火災のこと。これはその実験映像です。

停電が復旧し、電気が通ると…、スイッチがオンのままだった電気ストーブは、周りの物に触れている状況で動き始めます。しばらくすると、ストーブの前にある衣類が燃え始め、周りに広がっていきます。そして、あっという間に大きな炎に。これが、「通電火災」です。

『通電火災』防ぐ『感震ブレーカー』

阿隅健一ディレクター:「通電火災を防ぐために、県内の自治体で設置を推奨しているのがこちらの『感震ブレーカー』です。揺れを感知すると、このように、自動でブレーカーが落ちて、電気の供給を遮断します」

静岡市危機管理総室 小沢聖一郎主査:「メーカーによって異なるが、震度5強以上の揺れを感知したら自動的にブレーカーを落とす装置。いざ震度7の地震が起きたとき、冷静な判断ができないと思うので、感震ブレーカーなどを付けて自動的に(ブレーカーを)落とす装置を付けていれば、すぐに避難ができる」

能登半島地震以降、問い合わせ急増

静岡市が県の補助金を活用して感震ブレーカーの普及に取り組み始めたのは、7年前の2017年度。30日時点で、設置した住宅は2700軒を超えています。静岡市では、1年間で600軒以上設置した年もあれば、ここ数年は減少傾向が続き、今年度は現状104軒の設置にとどまっていました。ところが、年明けから一転して、市民からの問い合わせが急増したといいます。

静岡市が県の補助金を活用して感震ブレーカーの普及に取り組み始めたのは、7年前の2017年度。30日時点で、設置した住宅は2700軒を超えています。静岡市では、1年間で600軒以上設置した年もあれば、ここ数年は減少傾向が続き、今年度は現状104軒の設置にとどまっていました。ところが、年明けから一転して、市民からの問い合わせが急増したといいます。

来年度から県は、木造住宅耐震化プロジェクトの予算を3000万円増額し、5億6000万円に。さらに、感震ブレーカーの設置を促進するための費用を地震・津波対策等減災交付金に盛り込む予定です。

静岡市危機管理総室 小沢聖一郎主査:「来年度は、能登半島での災害もあったので、多くの人に感震ブレーカーの存在を知っていただくと共に、多くの方に設置していただいて、通電火災における延焼火災(のリスク)を減らしていただきたい」

「感震ブレーカー」を導入した人は

実際に、今年に入ってから感震ブレーカーの導入を決断した人がいます。静岡市に住む近藤和芳さん78歳。

近藤さんの家は築48年、2階建ての木造住宅。通電火災のリスクは以前から危惧していて、能登半島地震がきっかけとなり導入を決めました。

感震ブレーカーの価格は、分電盤がおおよそ5万円から8万円で、後付け装置は2万円ほど。そのうち市から3分の2の補助が受けられます(上限2万5000円)。近藤さんの場合は、工事費を含めて見積もりは 4万円弱だったといいます。

感震ブレーカーを導入 近藤和芳さん(78):「高い安いはよくわからないけど、市から補助を受けられるということで、その気になった。必要最小限、やれることをやっておいたほうがいいと能登半島地震で特にそう思った」

能登半島地震の発災から1日で1カ月。感震ブレーカーなど、今一度、災害発生時に向けた備えを見直す必要があるのかもしれません。

© 静岡朝日テレビ