ごま原料、需給に警戒感 ごま業界合同賀礼会4年ぶり開催

全国胡麻加工組合、日本ごま油工業会、油糧輸出入協議会は3団体共催による「新年合同賀礼会」を都内ホテルで開催した。合同賀礼会の開催は4年ぶり。ごま油、食品ごまメーカー各社のトップや商社、農水省、団体関係者が参加した。

会合では、能登半島地震への被災者への哀悼の意を示すとともに、被災地への食料支援や義援金など、ごま業界各団体が支援活動を行っていくことを確認した。

あいさつした全国胡麻加工組合の冨田博之理事長(真誠社長)は「ごま原料はほぼ全量を輸入に頼っており、主産地アフリカでの政情不安や円安、さらには人件費や燃料費の上昇によるコストアップが課題となっている。価格改定による数量減少も懸念され、加工メーカーは厳しい状況が続いている」と指摘したうえで、「業界全体で切磋琢磨し、ごま製品の価値をさらに高め、新たなイノベーションの実現につながる年にしたい」と意気込みを語った。

日本ごま油工業会・久米敦司会長

日本ごま油工業会の久米敦司会長(かどや製油社長)は「地政学リスクや環境対応など、ごま原料をめぐる課題に対して業界各社が一致団結して取り組んでいくことが大事だ。魅力あるごま製品の価値を最大限に高め、消費者にしっかり伝えていきたい」と語った。

なお、会合では油糧輸出入協議会によるごま原料事情の説明が行われ、24年の相場見通しや需給展望、品質向上やサステナビリティの取り組みについて共有した。

搾油ごまの原料価格は、昨年前半に1千900ドル/tに上昇した後、年末には1千600ドル/t台に軟化。ただ、今後の中国の需要動向やアフリカの政情不安、天候要因によっては再び反転する可能性があり、中東情勢による海運リスクも懸念されるとした。また、健康志向とおいしさを背景に、世界的にごまの需要が高まっており、新たな産地開拓に向けた取り組みも重要になっている。

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