アメリカがイラン関連施設攻撃を承認、シリアとイラクで=米メディア報道

アメリカ政府は、シリアとイラクにあるイラン関連施設などへの数日間にわたる攻撃計画を承認した。米メディアが1日、複数の米当局者の話として報じた。

BBCがアメリカで提携するCBSニュースによると、イランの標的に対する空爆は数日間にわたって実施される。天候の状況次第で実施のタイミングが決まるとみられる。

この攻撃は、1月28日にシリアとの国境に近いヨルダン北東部の米軍基地「タワー22」がドローン(無人機)攻撃を受け、米兵3人が殺害され、41人が負傷したことへの報復とされる。

ジョー・バイデン米大統領は、「イランの支援を受ける過激派武装グループ」の攻撃だとし、「報復する」と宣言。「アメリカが選ぶ時期と方法で、すべての責任者に責任を取らせる」としていた。

タワー22への攻撃は、「イラクのイスラム抵抗勢力」が実行を主張している。このグループは、イラン革命防衛隊(IRGC)から武器や資金、訓練を提供されている複数の武装勢力で構成されているとされる。

イランは一切の関与を否定している。

複数の米政府関係者によると、米情報機関は攻撃に使用されたドローンがイラン製で、イランがウクライナ侵攻のためにロシアに提供してきたドローンと類似していると考えている。

ロイド・オースティン米国防長官は1日の記者会見で、「我々は我々が選んだ場所で、我々が選んだ時期に、我々が選んだ方法で対応する」と述べ、軍事対応の遅れを擁護した。

そして、「適切な人物に確実に責任を負わせるという課題を、誰もが認識していると私は考えている」とし、そうするための「決まったやり方」は存在しないと付け加えた。

「制御不能に陥らないように管理する方法がある。我々は一貫してそれに集中している」

CBSニュースの取材に応じた米当局者たちは、今後起こり得る攻撃の具体的な時期については明らかにしなかった。彼らは、米軍は悪天候の中でも攻撃を行えるが、民間人を攻撃してしまうリスクを減らすために、より視認性の高い状況下での実施が望ましいとした。

バイデン大統領に対しては、イラン国内の標的を攻撃するよう求める最もタカ派の議員を含む、野党・共和党からの圧力が高まっている。

しかし、バイデン氏や国防当局者たちは、ドローン攻撃への対応をとると繰り返し約束している一方で、イランとのより広範な戦闘や同地域の緊張の激化は求めていないとしている。

「私が求めているのはそういうことではない」と、バイデン氏は今週初め、ホワイトハウスで記者団に語った。

米政府が承認したと報じられている計画は、イラン国内ではなく、シリアとイラクにあるイランの標的を狙うものとされる。

昨年10月7日のイスラム組織ハマスのイスラエル奇襲をきっかけに、パレスチナ自治区ガザ地区で戦闘が始まって以降、ハマスと同様にイランの後ろ盾を受けるいくつかのグループが、アメリカやイスラエルとつながりのある標的への攻撃を強めている。

イランの支援を受けるイエメンの反政府武装勢力フーシ派は、紅海やアデン湾を航行する船舶を攻撃。これを受け、アメリカとその同盟国はフーシ派のドローンや地上管制施設などへの攻撃を実施した。

米国防当局者がCBSに語ったところによると、アメリカは1日にアデン湾でドローン1機、紅海で水中ドローン1機をそれぞれ破壊した。

ロイター通信は1日、匿名の情報筋の話として、イスラエルによる一連の空爆の後、イランはシリアから高官を撤退させたと伝えた。同地域でのより広範な紛争に直接巻き込まれるのを避けるためだという。

米政府関係者は今週、米CNNに対し、イラン政府が昨年10月以降160回以上も米軍を攻撃している同地域のイランの代理組織の行動への懸念を強めている兆候があると語った。

(英語記事 US approves plan for strikes on Iranian targets

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