マカオのカジノIR併設ホテルで香港ドル模擬紙幣絡む両替詐欺発生…中国人の男1人逮捕

マカオ司法警察局(資料)—本紙撮影

 マカオ司法警察局は2月2日、1月29日午後コタイ地区のカジノIR(統合型リゾート)併設ホテルで「練功券」と呼ばれる銀行員のトレーニング用の香港ドル模擬紙幣に絡む両替詐欺事件事案が1件発生し、自称無職の中国人(中国本土居民)の男1人を逮捕したと発表。

 同局によれば被害者は1人で、1月29日正午頃、カジノでプレイするため香港ドルを用立てようとSNSのチャットアプリを通じて両替を支援するという相手方(違法両替従事者)と連絡を取り、対面で取り引きすることになったという。その後、ホテルに現れた両替相手と面会し、レートの合意を経て相手側の指示通りに37万3600人民元(日本円換算:約771万円)を銀行口座へ送金を完了し、被害者から両替相手に対してカジノのチップ交換所へ一緒に出かけるよう持ちかけ、相手は交換所のカウンターに額面1000香港ドルの札束を4つ置き、すぐにその場から立ち去ろうとしたことから、被害者が男が置いた紙幣を確認したところ、すべて模擬紙幣であることに気づき、警察に通報するに至ったとのこと。

 両替相手の男は通報を受けて駆けつけた同局の警察官によって逮捕。男は同局の調べに対し、自身は債務者で、債権者からマカオへ行って指定の相手と模擬紙幣を用いた両替をするよう命じられたと供述したとのこと。同局では、男を相当巨額詐欺罪で検察院送致するとした。

 マカオのカジノでプレイする際には主に香港ドルが用いられることから、中国本土から人民元を持ち込む旅客にとって香港ドルとの両替が必要となるケースがある。

 練功券は通貨としての価値がなく、一般に流通しているものではない。これまでもマカオではこれを用いた詐欺事件がしばしば発生していたが、昨年(2023年)10月下旬以降からは頻発している状況で、同局が累次の注意喚起を行っている。

 マカオのカジノ施設内外においては、違法両替従事者(換銭党)が暗躍し、これにまつわる各種犯罪も頻発しており、警察当局が換銭党を社会及びカジノにおける治安悪化の元凶と位置付け、度々大規模掃討作戦を展開するなど、取り締まりを強化して臨んでいるほか、インバウンド旅客に対して詐欺被害を避けるため正規ルートでの両替を行うよう呼びかけもなされている。

© 大航海時代新聞出版社有限公司