チリ中部の森林火災、少なくとも112人死亡と地元当局 

チリ中部バルパライソ州で発生した森林火災で、4日深夜までに少なくとも112人が死亡した。地元当局が発表した。

ガブリエル・ボリッチ大統領は非常事態を宣言し、この事態に対処するため「必要なすべての資源」を利用できるようにすると述べた。

今回の森林火災は記録に残る限り、チリ史上最悪とされる。太平洋に面したバルパライソを、夏季休暇中に訪れていた大勢が影響を受けた。

保健省は、バルパライソで健康被害が起きる恐れがあると警報を発令した。

同省はまた、緊急ではない手術の中止を要請し、臨時の屋外病院の設置を許可した。

医療サービスの負担を軽減するため、卒業間近の医学生を雇用する方針だと、保健省は同じ声明の中で明らかにした。

救助隊は最も被害の大きかった地域へ到達するのに苦慮している。カロリナ・トア内相は、今後数時間で死者の数が「はるかに高い数字に達する」だろうと述べた。

チリ政府は、森林火災が起きている地域への移動を控えるよう求めている。

エル・オリバル在住のドリゴ・プルガル氏(61)は、「地獄」のような大変な事態だと、AFP通信に話した。

プルガル氏は隣人を助けようとしたところ、自分の家が燃え始めていることに気が付いたという。

「私たちのところに灰が降ってきた」

エル・オリバルの住民のほとんどは高齢だと、プルガル氏は説明。同氏の隣人の女性は、周囲の人たちが脱出を助けようとしたがかなわず、女性は死亡したという。

住宅省によると、3000~6000棟の家屋が火災の影響を受けた。

3日にはビニャ・デル・マール、リマチェ、キルプエ、ビラ・アレマナの住民に外出禁止令が出された。

ボリッチ大統領は外出禁止令について、緊急車両の移動ルートを確保し、被災地に到着できるようにするためだと説明した。

トア内相は国民向けの演説の中で、4日に約1400人の消防士を出動させると述べた。

緊急サービスとともに軍も動員され、火災原因の調査が続いている。

現地はすでに慎重を要する状況にある。事態の悪化を避けるため、チリ政府はバルパライソとマルガ・マルガ県での火気や熱を発する機械の取り扱いを禁止している。

首都サンティアゴから116キロに位置する沿岸部の町バルパライソには、夏の間、多くの観光客が訪れる。

昨年にはバルパライソのさらに南にあるビオビオとニュブレで山火事があり、複数の死者が出た。

(英語記事 Chile forest fires: At least 99 dead in Valparaíso region

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