急成長が見込まれる「オイシックス」さらなるアクセルの踏み込みも

写真はイメージです

「Oisix」「大地を守る会」「らでぃっしゅぼーや」などの食品サブスクリプション(定期購入)サービスを展開しているオイシックス・ラ・大地<3182>が企業買収を加速している。

同社は2024年1月に、社員食堂の運営受託事業などを展開するシダックス<4837>を子会社化したのに続き、同月末にキッチンレス社員食堂事業(キッチンのある社員食堂の遊休時間を活用して、キッチンレス社員食堂に料理を届ける事業)などを展開するノンピ(東京都千代田区)を傘下に収めた。

シダックスとノンピの両社が、近い領域の事業を展開しているため、グループ化することで相乗効果を生み出すとともに、オイシックスとの連携を強化することで、グループとしての成長のスピードアップや強化が可能になると判断した。

シダックスの年商は1000億円を超えており、ノンピの年商は30億円弱。これら数字がオイシックスの業績に加わることなるため、オイシックスの2025年3月は事業規模が一気に拡大する。

まさに狙い通りにオイシックスの成長は大幅にスピードアップしそうだ。

キッチンレス社員食堂事業のノンピを傘下に

オイシックスは2024年2月1日に、ノンピ株の約51%を前日の1月31日に取得し子会社化したと発表した。

ノンピはキッチンレスの社員食堂事業のほか、法人向けのフードデリバリーやケータリングサービス事業を展開しており、帝国データバンクによると、2022年2月期の売上高は28億9900万円、当期利益は6500万円だった。

売上高は前年度の2.76倍に拡大、2020年2月期と2021年2月期に赤字だった当期損益も黒字化した。2023年2月期については不明だが、東京商工リサーチによると同期の売上高は27億4000万円で、前年度比5.4%減少した模様。

オイシックスは、ノンピの子会社化によって食材調達や配送の効率化、ミールキット(レシピと食材がセットになった商品)メニューの社員食堂への提供、業務用ミールキットによる作業効率化などを見込む。

帝国データバンク調べ

シダックスとは社食運用ノウハウを共有

またオイシックスは2024年1月5日に、シダックスを子会社した。MBO(経営陣による買収)によってシダックスの経営権を取得した、シダックス創業家の資産管理会社である志太ホールディングス(東京都千代田区)を子会社化することで、シダックスを傘下に収めた。

シダックスは社員食堂の運営受託事業のほか、車両運行や施設運営の受託事業などを手がけており、2024年3月期の売上高は1240億円(前年度比2.3%増) 、営業利益は44億円(同2.3%増)の見込み。

オイシックスはシダックスの子会社化によって、共同で給食システムの導入企業を対象にした企画や運営、両社の社員食堂の運用ノウハウの共有などを目指す計画だ。

売上高は一気に2倍に

オイシックスは2016年に有機・無農薬食材宅配の「大地を守る会」を、2018年にNTTドコモ傘下の会員制食品宅配の「らでぃっしゅぼーや」の買収を決め、現在の「Oisix」「大地を守る会」「らでぃっしゅぼーや」の3本柱の体制を築いた。

その後2019年にはビーガン食料理キット宅配サービスの米Three Limesを、2021年には水産品卸のセブンワークを子会社化するなどして業容を拡大してきた。

今回のシダックスとノンピの子会社化によって、業容は一段と拡大することになる。オイシックスの2024年3月期の売上高は1265億円(前年度比9.8%増)、営業利益は60億円(同79.3%増)の増収増益見込み。

これにシダックスの2024年3月期予想と、ノンピの2023年2月期の数字をそのまま加えて2025年3月期の業績を試算してみると、売上高は一気に2倍に、営業利益(ノンピは不明)は1.73倍になる。

事業規模の拡大に伴って、M&Aを進めるためのアクセルは一段と踏み込みやすくなりそうだ。

2024/3は予想、2025/3は試算

文:M&A Online

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