チャールズ英国王のがん診断、いま分かっていること

ミシェル・ロバーツ、フィリパ・ロクスビー、BBCニュース

チャールズ国王が、がんの一種と診断された。英王室バッキンガム宮殿が5日に発表した。現時点で何が分かっているのか。

英王室によると、がんは前立腺肥大症の治療中に発見された。国王は治療を開始。医師からは当面、公の場での職務は延期するよう勧告されている。

がんの種類は?

王室は、国王がどんながんを患っているのかや、どこで治療を受けているのかについて、明らかにしていない。

国王は5日に「定期治療のスケジュール」を開始したという。

王室は声明で、「国王陛下は前立腺がんを患ってはいない。これ以上の詳細は、この段階では明らかにならない」とした。

前立腺肥大症の治療と関係ある?

現在75歳の国王は最近、良性の前立腺肥大症の治療を受けた。

私立病院のロンドン・クリニックに3泊し、「正常化のための治療」を受けた。

治療後に王室は、国王が「私的な療養期間を確保するために」公的な予定を延期すると発表した。

国王は治療中、「懸念される別の問題」が確認され、その後にがんの一種と診断された。

今後、外来で治療を受ける。

がんとは?

がんは、体の特定の部位の細胞が制御不能な分裂をすることで発生する。

そうした細胞が臓器など体内の他の組織に転移することがある。これは「二次がん」または「転移性がん」と呼ばれる。

どう診断する?

通常は、医師がまず症状について質問する。いくつかの検査や診察もする。

血液検査、X線検査、その他のスキャナーによる検査などがある。小さな組織サンプルを採取して研究室で検査する「生体検査」を行うこともある。

国王のように、他の病気で検診を受けているときにがんが見つかることもある。

また、検診をきっかけとした検査でがんと診断されることもある。

イギリスでは、乳がん、腸がん、子宮頸がんの検診が実施されている。がん検診では、症状のない人にがんの初期の徴候がないか探る。その後、他の検査で診断を確定する。

がんになる人はどれくらいいる?

イギリスでは2人に1人が一生の間に何らかのがんを患う。

国民保健サービス(NHS)のウェブサイトによると、がんは200以上の種類がある。イギリスでは乳がん、肺がん、前立腺がん、腸がんが多い。

それぞれのがんには特定の診断と治療の方法がある。

主な治療法は?

がんの治療や対応にはさまざまな方法がある。それらは、がんの種類や部位によって大きく異なる。

一部のがんは外科手術で切除できる。注射や錠剤による化学療法でがん細胞を死滅させる方法もある。

放射線治療の選択肢が示されることもある。この治療では、高エネルギーの放射線を使ってがんを攻撃する。

しかし、すべての治療ががんを治せるわけではない。

がんのステージとは?

医師はがんの大きさや広がりをステージ(病期)で説明する。これは、最適な治療法を決めるのに役立つ。

ステージは数字で表される。1は転移のない小さながん、4は進行して他の臓器などに広がっているがんを示す。

がんから回復する人はどれくらいいる?

がんの生存率は過去50年間で大幅に改善した。だが、その伸びは近年、鈍化している。

イギリスのがん研究組織「キャンサー・リサーチUK」によると、がんと診断された人の半数は10年以上生存している。

がんの生存率は通常、40歳未満で診断された人の方が高い。

しかし、乳がん、腸がん、前立腺がんでは、中年期の人が最も生存率が高い。

がんを疑ったらどうすればいい?

気が重いかもしれないが、医師の診察を受け、心配事について話すのがいい。

気になっている症状ががんではないとしても、検査を受けることが重要だ。

がんの早期発見が、治療のしやすさにつながることは多い。

(英語記事 What do we know about King Charles' cancer diagnosis?

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