大学におけるIT教育、世界各国で供給力に高まり…日本は減少傾向

IT分野専攻・STEM分野専攻の卒業者数の推移

総合人材サービス会社のヒューマンリソシアは2024年1月30日、世界の大学などにおいてIT関連分野を学んだ卒業生に関する調査結果を発表した。調査した42か国中、8割の国でIT関連分野の卒業者が増加。しかし、日本のIT分野専攻の卒業者数は世界3位であったものの、5年間の推移では減少傾向にあるなど、世界各国とは対照的な結果となったことがわかった。

調査は、経済協力開発機構のデータベース(OECD.Stat)を基に、集計してまとめたもの。2023年11月の調査時点で最新であった2021年のデータを使用している。OECD加盟の38か国に、ブラジル、ブルガリア、クロアチア、ルーマニアを加えた計42か国が対象。IT分野は、情報通信技術専攻の卒業者数、STEM分野は、科学・技術・工学・数学専攻の卒業者数を集計した。日本については、IT分野の卒業者数は文部科学省の学校基本調査、STEM分野の卒業者数はOECD.Statのデータを使用した。

調査の結果、IT分野で学んだ卒業者数は、2020年時と比べて2021年は7.9%増、STEM分野の卒業者数は同3.3%増となり、世界各国でIT人材供給力が高まっていることが判明した。

IT分野の卒業者数は、1位「米国」20万8,617人、2位「ブラジル」5万6,129人に続き、「日本」は世界3位の4万4,149人。STEM分野の卒業者数も、1位「米国」、2位「ドイツ」、3位「フランス」などに続き、「日本」は7位の高水準であった。

IT分野およびSTEM分野の卒業者数の増減を5年間平均でみると、多くの国で増加。特にIT分野の卒業者については、42カ国中8割の国で増加しており、「カナダ」18.0%増をはじめ、「イタリア」も15.9%増。その一方、「日本」では、5年間平均で0.2%減となっており、G7構成国において唯一減少傾向している。STEM分野の卒業者についても「日本」は0.2%増と、ほとんど増えていないことがわかった。

世界の多くの国では、IT人材育成に注力し人材供給力を高めている一方、日本では人材輩出が減少傾向と、対照的な結果となった。なお、インドおよび中国は同じ条件でのデータが取得できなかったため、調査の対象外としている。調査結果の詳細は、ヒューマンリソシアのWebサイト、「データで見る世界のITエンジニアレポートvol.11」から確認することができる。

木村 薫

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