オゼキタツヤ(Bentham)×藤森元生(SAKANAMON)×米田貴紀(夜の本気ダンス)- Bentham主催『FASTMUSIC CARNIVAL TOUR 2024』での共演を前にフロントマン座談会を決行!

お互いに“仲良くやろうぜ”みたいなスタンスではない3組

オゼキ:最近お2人は、どう?

藤森:そういう感じで対談、始まるんだ(笑)。Benthamとは何気に、すごいお久しぶりだよね。夜ダンさんとはガッツリ対バンっていうのはこれまでやったことがないですよね?

米田:2マンとかはない…ですよね?

藤森:イベントとかでお見かけしたりはしてましたけど。だからようやく対バンできるっていう気持ちもあったり、Benthamとはスゲー久しぶりに一緒にライブができると思ってて個人的にはこのイベント、メチャクチャ楽しみにしてます!

米田:そうですね。SAKANAMONとは、藤森さんがいま仰っていた通りなんですけども、Benthamとは、ベースのマイケルが(Bentham・ベース)辻さんと、すごい仲良くさせてもらってまして。2人でベースの会みたいなイベントを京都でやってるぐらいで2人がどんどん仲良くなりすぎてて(笑)。もうそろそろバンド同士も対バンしておかないと、それでもっとバンド同士も仲良くなりたいなと思ってまして。今回は良い機会を作ってくださったなと思って非常に楽しみにしております。

Bentham

オゼキ:ありがとうございます! 俺ら3組の最初の接点みたいなところなんですけど、まず俺から話すと、SAKANAMONの「ミュージックプランクトン」(『浮遊ギミック』/2011)が好きすぎて、下北沢のベースメントバーのライブを見に行って。俺、“これからリリースします”って、BenthamのCDを渡してるんですよ。

一同:えっ!?

オゼキ:年齢も俺のちょっと上でバンド歴も上で、自分的の音楽的な好みも合ってて。しかも人気者で、でも近づけるような人柄の良いバンドってあまりいなくて。仲良くしたいなと思ったけど、お互いに“仲良くやろうぜ!”みたいなスタンスではないし。

藤森:グイグイ行く感じではないよね(笑)。

オゼキ:それは夜ダンもそうで、付き合いは途切れずで今まで来ている数少ないバンド、ですかね。

藤森:でもごめんなさい、僕、CDをもらったのは全然覚えてない…。

オゼキ:ライブ終わりに(ステージ上の)エフェクターボードの上にCDを置いたんですよ。その後に“CDを置かせていただきました”って何らかで連絡をしたら、元生くんからちゃんと返信ももらってるんですよ。

藤森:あ〜、そうだったのかぁ! Benthamはね、デビューしたての頃から会わせてもらってて、オゼくんの声も好きだしバンドのノリも良いなって思ってて。

オゼキ:だから時系列的に、元生くんはBenthamのデビューは知ってるけど、僕はもともとSAKANAMONが好きで自分から近づいて行ってた、っていう感じですかね。夜ダンとSAKANAMONの接点っていうのはどうですか?

藤森:もともとSAKANAMONがビクター時代のレーベルメイトだったんですよ。いよいよレーベルも盛り上がってきたなと思ったら僕たちが移籍しちゃって(笑)。結果、これまでなかなか対バンとかもなかったんですよね。もちろんライブは何度も見てはいてメチャクチャカッコ良いな、ノれて楽しいな〜って思ってて時が流れ。ここで来ましたね、Benthamのおかげでようやく話もできるっていう感じで。僕らも人見知りだし、夜ダンの皆さんもそんな感じかなと思ってたし(笑)。

米田:僕たちもそうですね(笑)。

藤森:ぜひこの機会にいっぱい話して仲良くなれればと思っております。

米田:よろしくお願いします。僕にとってSAKANAMONは、学生の頃にスペースシャワーTVや(現)MUSIC ON!TVに出てくるメチャクチャカッコ良いバンドっていうのが最初だったので。テレビの人や! っていう(笑)、テレビの向こう側の人という印象でした。Benthamとは『THE KINGS PLACE』(J-WAVE)っていうラジオ番組で同じ時期に違う曜日を担当してたので、仲間意識と言うか、その時代を一緒にやって来たっていう気持ちがありますね。ラジオ番組(から派生して)のライブがあって、そこでBenthamの曲をカバーさせてもらったり、思い出がいろいろとあります。Benthamって硬派なバンドやなってずっと思ってて、僕はそこがすごく好きですね。媚を売らないと言うか、自分たちのカッコ良い音楽を信じてやってはるんやな、っていうのをすごく感じてます。

オゼキ:ありがとうございます。でも今年は媚を売りまくろうと思ってますけどね(一同笑)。絶対に売れたいと思ってるから、俺はそのためなら。

米田:それはそれで良いと思います。そう言えるところも、僕は好きですね。

オゼキ:俺は、両バンドとも自分たちのやりたいことがちゃんと音楽ファンに受け入れられて結果を残しているバンド、っていう印象がありまして。夜ダンは露出の仕方も途切れないし、メンバー間やスタッフさんとの連携がとても上手くいってるんだろうなという感じでメッチャ羨ましい。それで着実に成果を残してるのがすごくて尊敬してるし、追いつきたいな、っていうのは違うのかもだけど、ずっと忙しくされてるのを見てるから早く一緒に演れたら良いなって思ってたのがこのタイミングで。出てくれるのも気持ちがないとできないところもあったと思うし、メチャクチャ感謝してます。

米田:ありがとうございます。

SAKANAMON

オゼキ:SAKANAMONに関しては、あの…去年の夏頃に出た曲が、音圧がもうバッキバキで。

藤森:マカロニ(えんぴつ)のよっちゃん(田辺由明)にギターを弾いてもらった「光の中へ åfeat. 田辺由明(マカロニえんぴつ)」かな?

オゼキ:マカロニ効果なのか(笑)分かんないですけど、音圧がメチャメチャすごかったんですよ。聴いて速攻、うちのギターの須田(原生)に電話したらやっぱり聴いてて“音、ヤバくない?”って。外部を巻き込んでそういうことをやったり、音のアプローチが毎回違うので、すごく音楽に対して誠実だし自分のポジションも確立してる。クセが強いのに今このポジションにいるのが、マジでスゴイっす。大好きです!

藤森:ありがとう! わーい!! じゃあ、皆が皆をリスペクト、っていうことで良いんですよね!

米田:そう思います!

オゼキ:好きなバンドであり今一緒に演りたいバンドである2組と対バンできる期間も空いて、新宿LOFTでのライブは“Benthamは今、こういう感じなのか”っていうのが伝わるライブをしよう、ってメンバーとも話してて。昨日もリハだったんですけど、お客さんはもちろん、SAKANAMONと夜ダンにも今のBenthamの状態をしっかり見せたいなっていう思いが強くあって。僕の一存でそういうセットリストにほぼ決めましたね、ちょっと最近はやってなかった曲も入れて。

藤森米田:楽しみにしてまーす!

オゼキ:俺、去年からバンドでもプライベートでもメチャクチャいろいろとあったんですよ。それでも音楽をやってる、限られた時間の中で2組もバンドをしっかり続けてて自分たちの企画で同じ空間で音を鳴らせるのって本当にありがたいなと思ってて。これって多分、周りにサポートしてくれる人がいたら感じられなかった気持ち…だと思うんですね。なのでこの気持ちを大事にしたいと思うし、この気持ちを反映したセットリスト、ですかね。

藤森:うちのバンドはセットリスト番長が森野(光晴/ベース)ですけど、森野さんが企んでると思いますよ。もし、やって欲しい曲があったら僕らはガンガンやるので、リクエストがあれば言ってください!

オゼキ:ありがとうございます、個人的にあるので早めに連絡します!(笑)

米田:オゼさんが言ってることに近いと思いますが、対バンをしてなかった時間に僕たちもいろんな挑戦をしてきたし、昔の曲でそう言ってもらえることももちろん嬉しいんですけど、“新しい曲、カッコ良かったよ!”って言ってもらえるような、ピークのポイントを新しい曲で作れるような、そういうライブをしたいなと思いますね。

「健康の話」が出はじめるお年頃に

オゼキ:俺が最近すごくショックだったのは、お世話になってるお師匠さんみたいな方に“Benthamは「パブリック」(2014)だけやってれば良いんだよ”って言われて。それもメチャクチャ分かるしその考えもあるけど、俺は今、いろんな新曲を作りたいし自分の曲で世界がひっくり返るんじゃないかってまだ信じてるし、少なくとも目の前で聴いてくれてる人には何かできるんじゃないかな、自分自身ももっと作っていきたいし、という中でやっぱり最前線の矢面で戦っているバンドっていうのは“今の一番”っていうのを出す、そういうマインドなんだなっていうのを今、メッチャ思いましたね。

米田:それはすごく共感できる話だなと思います。僕たちは今日、新しいアルバム『dip』が発売で、だからそういうマインドなのもあるかもしれないですね。今日、世に出た曲たちをより良く見せたいっていう気持ちが高まってる感じやと思うので。その熱量のまま(楽曲を)どこまでライブで育てられるかな、っていうのを今、すごく考えています。“初めまして”じゃなくて前からの繋がりがあってこの3マンの日がある、そこにたまたま僕たちのアルバムのリリースが近くに重なって。新しいアルバムの曲が本当に一番カッコ良い、そう思ってもらえるようなライブにします。

オゼキ:カッコ良いバンドは新譜もカッコ良い。新曲に“あぁ〜”って感じてしまったバンドはそのままバンドもそうなっていく感じだし。ここ10年ぐらいの音楽の仲間を見てきてそれはすごく感じてるから。最近さ、いろんなことを考えたりしない?

米田:いろいろと…ね、考えますよ(笑)。

オゼキ:俺はまず、年齢とか気にしない派だったんですけど、今は多分、世界で一番俺が年齢を気にしてる(笑)。もし辞めるなら1日でも早く、とか思ったりもするけど、やっぱり音楽でやり残したことがあるから続けてるし、続けるためには何をすべきかっていうのをシビア目に見始めて、毎日を過ごしてますね。

藤森:うーん、ウチは皆、単純に身体にガタが来てて(笑)。本当に健康の話をよくするようになった(一同笑)、バンドを長く続けるために健康でいよう、っていう。これがリアルになってきた感じがする。

米田:確かに、健康の話はし出しますよね(笑)。そんな話をするなんて思ってもなかったんですけど、“腰が痛い”だとか、やっぱり出てきますよね。

夜の本気ダンス

オゼキ:あと最近、バンド(Benthamメンバー)も含めて俺以外の(SAKANAMON&夜ダンメンバーも)皆さん、ビジュアルの担保ができてる、イケてるの。俺はビジュアルをあまり気にするほうじゃなくて、デビューの頃から12キロ太ったの。俺的に皆、歳を重ねるごとにイケてる印象で、それはプロ意識なんだろうなと思ってメチャクチャ反省してるっす。

米田:そうなんかな? そこは良いんじゃないですか、反省しなくても?

藤森:僕は全く関係ない派で、どんなビジュアルしてようが音楽がカッコ良ければいいじゃんっていう主義。なんですけど、ウチのメンバーが皆、ビジュアルを大事にしてる人たちで。あの2人から“ボーカルはちゃんとしないと駄目だよ”って、服とかも皆に選んでもらってるんですよ。お風呂に毎日入るようになったのも皆に言われてるからだし、だから、大事なんだろうな…って、思うようになってます。

オゼキ:うんうん。だから年齢は気にしなくて良いけど、体型は気にしていこう、で!

米田:健康の話でさっきすごく共感しましたけど、僕はやたらストレッチしてみたりしてて。若いときは何もしなくてもステージに出たらバッと行けたんですけど、今は身体を解さないと。そういう気の使い方ですよね。自分自身の身体なので自分が一番よく分かってるし、最近は自分自身でそういう感じでやってますね。

藤森:まさに僕も、ここ半年ぐらいでストレッチをやるようになったかな。自分でいろいろと調べて、腹式呼吸がしやすい体勢とか。

オゼキ:それまで“ちゃんとしなきゃ”って思ってたのが、メンタルが駄目になってしまったときに、歌うこと以外ではやることが何もなくなってしまって。好きなときに好きなだけ食べてウエイトは上がったけど、そのタイミングで声質も変わって前よりちゃんと歌えるようになったんですよ。そこから自分と向き合って、今までだったらレコーディングでも補正をバキバキかけてて“俺が歌ってるんだけど俺じゃない”みたいなのもあったし、もちろん痩せてカッコ良いほうが良いけど“歌だけは嘘をつくな”って言われたときから心が解き放たれて。自分の中では良い歌が歌えるようになったのと比例して、動員が減ったとかがあったんですけど、音楽が良ければ続けられると思ってやってきて、今のこの状態のまま痩せたい、っていうのがありますね(笑)。だから今年は追い込みをかけて、年内中に今までの自分のベストビジュアルを超えようと思ってますね。頑張ります!

藤森:おぉ〜! 僕は今年はね、健康診断に絶対に行こうと思ってます! 簡単なのは受けたことがあるけど、バリウム飲んだりとかね。

オゼキ:それも分かるわ〜、俺も受けたことないんですよ!

米田:僕もないので、いい加減行ったほうが良いですね…って今、思いました。

藤森:レジェンドなミュージシャンの方々がたくさん亡くなって。やっぱり本当に、健康は大事だな、と思ってるところなんですよ。

オゼキ:そうなりますよね、自分に置き換えたらまだ死んでられないって思うし。ちゃんとしなくちゃって今、皆が思ってると思います。その上で今年なんですけど、お2組はどうですか?

藤森:SAKANAMONは、3月6日の僕の誕生日に4曲入りのEP(『liverally.ep』)が出て、ツアーを周ります! EPは、とにかくライブに特化した楽曲を集めて、ライブ(live)とラリー(rally)を掛けたタイトルなんですけど、それが出て今年は…ライブを大事にしたい、そんな1年になると思います。今、ライブがすごく良い感じでまだまだ伸び代を感じているところなので、今年のSAKANAMONのライブをお楽しみに! でございます!

米田:僕たちは今日リリースのニューアルバム『dip』を引っさげてツアーで全国を回って、その後は配信で曲を出せたら良いなという感じで歩みを止めずに行ければ良いなと思ってます。音源出してツアー、っていうサイクル・車輪が止まらないように走り続けられれば良いなと思っております。個人的なところでは、僕たちメンバー全員が京都在住でやってるんですけど、今、結成15周年アニバーサリーの期間で昨年は京都でフェスをやらせてもらったりもしたんですけども、京都に暮らしてるのに京都のことを本当の意味であまり知らなかったかも、と最近になって思い始めまして。京都外からバンドの方が来てくれはったときに、京都の良さとか良いお店とか全然紹介できてへんな、って思って悔しいなって思ったんです。だから、自分のルーツでもある場所をより深掘りしても良いのではないか、と思ってます。

オゼキ:夜の本気ダンスも京都を背負っていく、と!

米田:そうですね、10-FEETとかくるりとか先輩方もホンマにたくさんいはるんですけど、先輩たちともジャンルがちょっと違いますし、先輩方が背負ってない隙間を見つけて、背負われてないところを背負って(笑)伝えられる京都もあるんじゃないかな、それを探りたいな、ということを思ってますね。

オゼキ:おぉ〜、イイね! 最後に、俺らBenthamはまず『FASTMUSIC CARNIVAL』のタイトルで東名阪を周って。今、メンバー4人だけで動いてるから“これ、やっちゃおう!”っていうことも速攻でできるし、生きたアイディアや自分たちの意思を反映した活動をしていきたいと思ってますね。とにかく曲もいっぱい作って、攻める1年にしたいな、って思ってます!

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