ハマス、ガザでの一時停戦案に「回答」

イスラム組織ハマスは6日、パレスチナ自治区ガザ地区でのイスラエルとの戦闘の一時停止を含む新たな提案について、回答したと発表した。

この枠組みはイスラエルやアメリカ、カタール、エジプトが打ち出したもの。詳細は公表されていないが、6週間の停戦を実施する間、ハマスの人質となっているイスラエル人と、イスラエルの刑務所に収監されているパレスチナ人囚人を交換するものだと報じられている。

イスラエルとアメリカは、ハマスの回答を検討しているとしている。

現在、中東に滞在中のアントニー・ブリンケン米国務長官は、7日にイスラエル政府関係者とハマスの回答について協議する方針だと述べた。

ブリンケン氏は、ハマスの回答をアメリカがどう捉えているのかは示していない。一方で、ジョー・バイデン米大統領は「少し度が過ぎる」回答だとし、イスラエル指導部がハマスの要求に簡単には同意しないであろうことを示唆した。

「前向き」に回答も、修正点あるとハマス

ハマス高官はBBCに対し、ハマスは提案された枠組みについて「前向きなビジョン」を示しつつ、ガザ地区の再建や住民の帰還、避難民のための対策に関するいくつかの修正を求めたと述べた。

また、負傷者の帰還や海外の病院への移送など、負傷者の治療に関する変更も求めたという。

新たな枠組みは1週間ほど前にハマスに提示された。しかし、その内容の多くが「不明確かつあいまい」だったため回答するまで時間がかかったと、ハマスの代表者はロイター通信に語った。

カタールのムハンマド・ビン・アブドルラフマン・アル・サニ首相は、ハマスの回答は全体的に「前向き」なものだと述べた。

ハマスは昨年10月7日、イスラエル南部への前例のない越境攻撃を行い、民間人を中心に約1300人を殺害、約250人を人質にとった。これを受け、イスラエルは報復攻撃を開始した。

ハマスがガザ地区で運営する保健省によると、同地区ではこれまでに2万7500人以上が殺害されている。

ハマスはイスラエルやイギリス、アメリカなど複数の国からテロ組織に指定されている。

新たな取引に至るか

昨年11月下旬から1週間続いた戦闘休止では、イスラエル人105人と複数の外国人の人質が解放された。

その見返りとして、イスラエルは刑務所に収監していたパレスチナ人受刑者約240人を釈放した。

イスラエル国防当局は今週初め、ガザ地区のハマスのトップ、ヤヒヤ・シンワル氏の捜索で、自軍が「前進している」と報告した。この主張により、新たな取引のタイミングが複雑になる可能性がある。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、拘束されたままの人質の解放を確実にするよう、国内で強い圧力を受けている。

戦闘の一時休止を含む取引の進展を求めるブリンケン氏の中東訪問は、イスラエル・テルアヴィヴに緊迫感をもたらしている。そして、地域的な危機感の高まりがこれに拍車をかけている。

1月28日にシリアとの国境に近いヨルダン北東部の米軍基地「タワー22」がドローン(無人機)攻撃を受け、米兵3人が殺害され、41人が負傷したことを受け、アメリカは同地域におけるエスカレーションの拡大を食い止めようと対応を強めている。

アメリカは今月2日、ヨルダンの米軍基地攻撃への報復として、シリアとイラク領内にあるイラン関連の85以上の標的への攻撃を実施。今後さらに多くの空爆を行うと警告している。

ガザ地区での停戦合意は、さらに遠く離れた場所での緊張を緩和する最も現実的な方法だと、アメリカはとらえている。

人質31人死亡を確認と

こうしたなか、イスラエルは6日、ガザ地区で拘束されたままの人質136人のうち31人の死亡を確認したと発表した。

イスラエル国防軍(IDF)のダニエル・ハガリ報道官は、死亡した人質の家族には報告済みだとし、当局は残りの人質の帰還に向けて引き続き強く働きかけていくと述べた。

「これは道徳的義務で、国家の責務かつ国際的な責務だ。これが我々の羅針盤であり、我々が活動を続ける方法でもある」

(英語記事 Israel-Gaza war: Hamas responds to proposed Gaza ceasefire plan

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